「令和5年第3回定例会」総務委員会②~子供政策連携室

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チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針2023

エビデンスに基づく子供政策の推進

エビデンスに基づく子供政策の推進において、繰り返しとりあげてきた日本財団による「18歳意識調査」を、冒頭5ページで引用していただきました!

都の資料では引用されていませんが、自分の国の将来が「良くなる」と思う若者が13.9%と、日本を含む6か国のなかで他の国と大きく差をあけた最下位である一方で、自分の行動で国や社会を変えられると思う割合も、26.9%と最も低くなっています。

今の大人が作ってきた子供を取り巻く環境や教育が、若者の意識をこのようにしてしまっている状況を改善するために「エビデンスに基づいた子供政策の推進」は重要であり、「子供の居場所におけるヒアリング」で現場に足を運び、子供たちに向き合い、現状を知ると同時に、先にあげた、「18歳意識調査」の要素も入れた、子供に関する定点調査「とうきょうこどもアンケート」を実施、数と網羅性を高めていることを評価するものです。

Q1 令和5年5月18 日~6月6日で実施した、1回目のアンケート結果の集計の進捗と公表予時期について伺う。

A1(プロジェクト推進担当部長)
○子供に関する定点調査「とうきょう こども アンケート」については、現在、調査票を回収し、学識経験者等による専門家会議の議論も踏まえながら、多角的な分析・検証を行っている
○年内の可能な限り早期に公表できるよう、引き続き分析を進めていく

先に述べた調査含め、既存の調査とも比較できる項目設定をしていただきました。「エビデンスに基づく子供政策の推進」の根幹をなす調査であり、引き続きの分析をお願いしました。

区市町村におけるデータ連携について

かねてより私は、ヤングケアラーなどのハイリスクの子供に「確実に」気づくために、教育と福祉のデータの掛け合わせが有効であるという先進事例を紹介し、データ利活用を強化するよう訴えてきました。行政が早めに介入できれば、子供が子供らしい時間を過ごせるとともに、自らの将来のためにやりたいことに取り組む時間を確保することができます。

Q1「令和5年都議会第1回定例会」総務委員会では、「データ連携に関する先進事例の紹介、区市町村包括補助事業の活用による複数年度にわたる財政支援等を通じて、区市町村の取組の拡がりを後押しする」との答弁を得ていますが、その進捗について伺います

A2(プロジェクト推進担当部長)
○データ連携に関する取組を促進するため、本年7月に、都内の区市町村を対象とした情報交換会を開催し、子育て支援部門やデジタル部門を中心に100名を超える職員が参加
○この情報交換会では、先進的な取組を行う都内外の自治体から講師を招き、連携するデータ項目やリスクのある子供を判定する仕組み等を紹介するとともに、都からは、システム構築に加えて支援体制の強化にも活用可能な区市町村包括補助事業について説明
○こうした取組を通じて、引き続き、区市町村のデータ連携の取組を後押ししていく

発達障害の傾向持つ「グレーゾーン」児童や、不登校など、課題を抱える児童が増加するなか、限られた行政職員で「誰一人取り残されない、子供たち一人一人に応じた支援」に取り組むには、データ利活用によるサポートは不可欠です

100名を超える職員が参加、ということで、多くの基礎自治体職員に興味を持っていただけたことを嬉しく思います。加えて、先行自治体から講師を招いたとのことで、具体的な学びの場になったと思います。デジタル庁が手掛ける「こどもに関する各種データの連携による支援実証事業」に学びつつ、基礎自治体の取り組みの後押しの継続を要望しました。

「チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策」全般について

これに先立つ政策企画局の「政策ダッシュボード」に関する質疑で、「戦略1 子供の笑顔のための戦略」の「こどもスマイルムーブメントプロジェクト」についてとりあげました。

主な3か年のアクションとして、「こどもスマイルムーブメント」、「こども未来会議」、「東京都こども基本条例の理解促進に向けた普及啓発事業」があり、それぞれ具体的な事業の実績と計画が、そして取り組み成果として、事業実施内容が記載されている。一方で、その結果、子供がどういう状態になればよいか、という、アウトカム指標はありません。

「こどもスマイルムーブメントプロジェクト」の起点はもちろん、「東京都こども基本条例」であり、子供たちが、意見が政策に反映されていると思えたり、大切にされていると感じられるようになることが最終目標であると考えます。

先の「とうきょう こども アンケート」では、
「大人たちが子供の話をきちんと聞いてくれる」
「子供にとって大切なことを決めるときに子供が参加できる」
「自分の意見が採用される」

などの調査項目を設けたと聞いています。

これらをアウトカム指標として活用し、「こどもスマイルムーブメントプロジェクト」の進捗の可視化と、関係事業の継続したブラッシュアップを要望しました。

日本語を母語としない子供の支援について

一般質問文教委員会総務委員会で、私は繰り返し、日本語を母語としない子供の教育環境の拡充について訴えてきました。様々な文化背景を持つ子供達は、同調圧力がかかりやすい日本の子供たちにとって、多様な価値観に触れ、学べる存在であり、将来は日本と諸外国との懸け橋にもなりうる存在です。この子供たちが日本で学び、共に育ち、そして持ちうる力を発揮するためには、日本語教育が大変重要です。

ところが、東京都における日本語教育の普及・啓発に取り組むNPOの調査によれば、日本語指導が必要な外国籍の児童生徒数が最も多い愛知県、続く神奈川県などに比べ、東京都では、小中学校で日本語教育の対象になる生徒の割合が著しく低いこと、都立高校の在京外国人生徒対象募集枠も、現時点で対象高校は8校、150名程度と限定的であることなどが指摘されています。

日本語指導が必要な児童生徒を確実に日本語教育の対象にするための解決策の一つが、在留外国人に対して、子育て・教育に関する情報を行き届かせることです。墨田区では、外国人家族が来日し住民登録をするタイミングでその家族の年齢等の基本情報を聞き取り、日本語学級での面談を設定し、その子供の日本語力に合った学級への編入に繋げています。

Q3 墨田区のように、来日した児童・生徒等を確実に、日本語教育につなげる取組を学校外の地域日本語教育でもすすめるべきと考えるが、都の見解を伺う。

A3(企画調整部長)
○日本語指導を必要とする児童生徒数は増加
○また、子供の母語は多様であり、日本語を母語としない子供たちが集住する地区と散在する地区が混在
○日本語を母語としない子供をきめ細かく支援するためには、地域の住民に最も身近な行政である区市町村を始め、国際交流協会などの様々な主体と連携しながら、地域の実状を踏まえて取り組んでいく必要がある
○区市町村の中には、就学不明者に対し、多言語通知を複数回送付し、就学促進を図るなど、独自の取組を実施している自治体もある
○都においては、こうした区市町村の取組を調査し、好事例を取りまとめ、区市町村と共有することで、地域における子供に対する日本語学習の機会の充実を図る

 都内の基礎自治体ごとに取り組み状況が異なるとも聞いています。答弁で示された好事例の展開により、都内のどの区市町村に転入しても情報が届くようにしていただくことを要望しました。

「少子化対策の推進に向けた論点整理」について

子育て期の住宅支援の重要性

「少子化対策の推進に向けた論点整理」を拝見、私も現状について学ぶことができました。この中で、有識者の意見として、子育てにおける都特有の課題として、「教育費及び住宅費の高さ」があげられています。

教育費については、わが会派の提案を受け、教育費の全国平均との差、月額5000円を、都内に在住する18歳以下のすべての子供に対し、所得制限なしで支給する「018サポート」が今年度から開始された。

一方で、住宅費に関しては、都は、都営住宅の入居資格の「若年夫婦・子育て世帯向(定期使用住宅)」の枠を拡大したり、結婚予定者を対象に加えるなど取り組みを進めてはいるものの、効果は限られます。

国土交通省が「カーボンニュートラルの実現」を達成するための1つとして、2022年に実施した「こどもみらい住宅支援事業」は、子育て世代・若者夫婦がZEHなどの省エネ性に優れた住宅を購入したり、一定の条件を満たすリフォームをする場合に最大100万円の補助金を交付するというものだったが、年度途中で上限に達しました。

一方、都内には、80万戸を超える空き家があり、今後も増加する傾向にあります。都は「空き家利活用等区市町村支援事業」を実施、地元世田谷区でも、官民連携で「せたがや空き家活用ナビ」を開始、空き家所有者や関係者からの相談に無料で応じるとともに、住み手とのマッチングを図っています。そて、堺市では、「堺市子育て世帯等空き家活用定住支援事業補助金」と称して、今年度から、市外からの転入、または市内の賃貸住宅から空き家を取得し転居した若年世帯‧子育て世帯に対して、空き家の取得に要した費用を最大120万円、補助することで、空き家の活⽤、及び若年世帯・子育て世帯の転入及び市内定住を促進しています。

Q4 東京固有の住宅問題を考慮しつつ、都内で2人目、3人目を生み育てる家庭に対して、少なくとも子育て期間にそれなりの広さの住まいに住めるよう、制度を検討するべきと考えるが、見解を伺う。

A4(少子化対策担当部長)
○都特有の問題として、住居費が高く、面積が狭い住宅が多いという状況があり、子育て世帯に子供を複数持つことを躊躇させる一因
○そのため、今回の論点整理において、都における子育て世帯の居住状況などを分析した上で、「子育て世帯等が安心して生活できる住宅確保策を推進」という政策検討における課題を盛り込んだところであり、今後、関係局と連携しながら、検討

実際、子どもが一人部屋を必要とする時期は限られています。この期間だけでも応援してほしいことをお伝えしました。

子育てにおける共助の推進

私の政策の柱のうち3番目は「血縁に頼らないコミュニティの再生」です。「教育・保育」に記載されている「多様な他者との関わりの機会の創出」は大切です。

私自身、子供が小学校に通っていた頃は、37階建ての300戸を超える大規模マンションに居住しており、同学年の子供も多かったことから、仕事で帰りが遅くなる平日は子供の友達の親が預かってくれて、土日は逆に我が家に遊びに来てもらうなど、いわゆるママ友・パパ友関係に助けられてきました。

子供からみても、成長の過程で関わる大人や異年齢の子供の数が多いことは、多様な価値観に触れたり、目標になる人に出会えたり、自らより年上が多いグループでは教えられ、頼る経験が、年下が多いグループであれば、教え、頼られる経験ができます。しかしながら、地域コミュニティが希薄化する中、出会いも体験も減少している。

小学校中学年以降のギャングエイジの大切さも繰り返し述べてきした。同世代の子供同士でチームを作って、小学校区内を移動して遊ぶ経験が、小学校低学年からの塾通いで失われる一方で、同じ学年で成績という一つだけの物差しだけで測られ続けることは、この領域を得意としない子供にとっては、自己有用感や自己肯定感の醸成を阻害すします。一方、学習を得意とする子供にとっても、自分が評価されやすい物差しに固執したり、それ以外の経験を軽視するなど、機会が奪われていることは同じだと考えます。

「防災」で共助が失われているように、「子育て」においても共助が失われており、子育ての孤立化が進み、子供の体験の幅も狭まっています。共助による、子育ての負担感や不安の解消が図られないことは、少子化が進行する要因の一つとなっていると考えます。

Q5 子育て世帯の孤立を防ぎ、安心して子育てができるよう環境整備を促進すべきだと考えるが、見解を伺う。

A5(少子化対策担当部長)
○核家族化の進展や価値観の多様化等により、人と人とのつながりが希薄化しつつある中、子育て世帯は精神的に大きな負担を抱えていることが指摘
○こうした状況を踏まえ、論点整理では、政策検討における課題として「全ての子供・子育て家庭に対し、ライフステージを通じた切れ目ない支援をシームレスに展開」することを盛り込んでおり、お話の多様な他者との関わりの機会の創出をはじめ、安心して子育てができる環境整備について検討

私は、地元にある神社のイベントで「子供スタッフ」という、子供が準備から運営に関わる仕組みを提案、続けてきました。参加する子どもは年々増えており、イベントを担う大人と顔見知りになり、お祭り等で出会うと、自然に運営側にまわったり、友達も一緒にお手伝いしてくれるようになりつつあります。

ポイントとしてお示ししたいのは、子供を対象にしたイベントを新たに企画するのではなく、既にあるイベントに、子供を関わらせていることです。都が既に実施してる地域コミュニティの活性化関連事業に、子供や子育て世代が関わる工夫を追加することにインセンティブを設けることを提案するとともに、「子育て」における地域の共助の再生に向けた取り組みを、引き続き提案、応援することを伝えました。

「東京こどもすくすく住宅 アドバンストモデル」の推進

本年7月に、「東京こどもすくすく住宅」の「アドバンストモデル」である「ネウボーノ菊川」を会派有志メンバーで視察しました。事業者の代表は、東京で子育て経験があり、子育てにおけるコミュニティ再生を目的に事業化したということで、子供が過ごせるフリースペースが設置され、保護者が相談できる保育資格を持つ管理人が日中は常駐しています。保護者はいつでも相談したり預けることができ、子供を通じたコミュニティも形成される、まさに、縦に重なった「現代版長屋」だな、と思いました。

賃貸物件で広さが限られることから、子供が育つと自然に住民は転居しますが、ここで育まれたコミュニティは退去後も持続すると聞いています。つまり、人間関係が薄いといわれる通常のマンションとは真逆で、入居者同士さらには地域とも地縁が形成されるという特徴があります。

子育て、そして子供にとっての共助の重要性を訴えてきたが、これまでも紹介してきたように、内閣府の分析によれば、人々が持つ信頼関係や人間関係を意味する「ソーシャルキャピタル」は、出生率と正の相関があるともされています。

Q6 少子化対策の取組が、子育てにおける共助の再生に対する効果について、例えばソーシャルキャピタルを評価するなど、検証、効果がある場合はその側面も考慮して拡大を支援するべきと考えるが、見解を伺う。

A6(少子化対策担当部長)
○実効性ある少子化対策を展開するためには、施策の検証を行い、その結果を踏まえ、不断に取組をバージョンアップしていくことが重要
○そのため、今後、長期的な視点で取組の効果を検証する仕組みを構築する予定であり、その際、地域や社会における子育てへの理解や、人とのつながりといった側面も考慮した上で検討

地域や社会における子育てへの理解や、人とのつながりといった側面も考慮した、長期的な視点で取組の効果を検証する仕組みを構築する予定、との、大変前向きな答弁でした。期待が持てます!!

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