「令和5年度都議会第3定例会」総務委員会①~政策企画局

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政策ダッシュボード

政策目標の多くが改善する一方で、以下に課題があることが一目でわかるようになりました。事業執行して終わりではなく、事業の精度向上につながる第一歩であり、見える化の取り組みを高く評価します。

戦略1 子供の笑顔のための戦略の「学童の待機児童の解消」、「家事・育児関連時間の男女差」
戦略12 稼ぐ東京・イノベーション戦略の「都内の全ての自治体で経済成長率」
戦略15 文化・エンターテインメント都市戦略のコロナ禍を経ての観光関連の指標
戦略16 スポーツフィールド東京戦略の「パラスポーツに関心がある都民の割合」

一方で、アウトカム指標の設定については一様ではありません。以下の戦略には設定されています。

戦略6 ダイバーシティ・共生社会戦略 「インクルーシブシティ東京プロジェクト」の取り組み状況に対しては「人権が尊重されていると思う人の割合」が設定され、順調に伸びています。
戦略3 女性の活躍推進戦略 「女性活躍に向けた社会のマインドチェンジプロジェクト」の取り組み状況に対しては「東京は女性が活躍できる都市だと思う人の割合」が設定され、順調に伸びています。
戦略16 スポーツフィールド東京戦略 「パラスポーツに関心がある都民の割合」が設定されていて、東京2020大会があった2021年に対し低下が認められ、対策が必要であることがわかります。

一方で、以下にはアウトカム指標が設定されていません。

戦略1 子供の笑顔のための戦略 「こどもスマイルムーブメントプロジェクト」に関しては、事業の実施状況の記載はあるだけです。本戦略の起点となった「東京都こども基本条例」を踏まえると、「自分達の意見が政策に反映されていると思う子供の割合」や、「大切にされていると感じる子供の割合」のようなアウトカム指標が必要です。
戦略2 子供の「伸びる・育つ」応援戦略 「新たな「東京型教育モデル」推進プロジェクト」に関しては、事業の実施状況の記載はありますが、背景にある新学習指導要領を踏まえると、子供の「主体性」や「能動性」、「協働性」などのアウトカム指標が必要です。
「TOKYOスマート・スクール・プロジェクト」の「取り組む先生方の働き方改革」や、「生徒一人ひとりに応じた教育」についても、例えば「残業時間」や、「生徒の満足度」などのアウトカム指標があるべきです。
戦略7「住まい」と「地域」を大切にする戦略 「居場所の数」や、「ボランティア人材の数」、「相談支援体制」などの指標はありますが、英国政府に設置された孤独問題担当国務大臣が所管するような領域に関する取り組みだとすれば、「孤立孤独を感じる人の割合」の減少が、アウトカム指標になると思います。

このように、アウトカム指標が設けられていない戦略や事業が散見されます。

Q1 各政策の効果の指標としては、アウトカムの設定が必要なものもあると考えるが、見解を伺う。

A1(計画調整部長答弁)
○未来の東京戦略では、政策目標を立てるに当たり可能な限り数値化、定量化を図ってきた
○取組の成果に関する定量的なアウトカムのほか、都民の皆様に対し、状況の変化や取組の進捗を視覚的に分かりやすくお示しするため、事業の特性などに応じアウトプットも用い、目標を設定
○今後も状況の変化なども踏まえつつ、アウトカム指標も含め関係局と議論を重ね、政策を強化する中で対応

目的達成や課題解決にむけて各事業が設計されているものの、ともすれば、事業の執行に気を取られがちです。事業執行により確実に都民のQOL向上につなげるためにも、アウトカム指標の必要性について前向きに検討いただくことを要望しました。

「グリーンインフラ」など新しい政策について

「戦略13 水と緑溢れる東京戦略」が進められていますが、わが会派の提案を受けて、新たに重点政策方針として、自然環境の有する多様な機能を積極的に生かし、防災・減災、生物多様性の保全など社会課題解決に資する、そして見た目にも美しい「グリーンインフラ」が盛り込まれました。

Q2 新たな政策目標の設定に向けた考え方について伺う。

A2(計画調整部長答弁)
○ 例えば、未来の東京戦略バージョンアップ2023では、戦略11「スタートアップ都市○東京戦略」で、新たなスタートアップ戦略に対応した成果指標として、東京発ユニコーン数や東京の起業数などを新たに設定
○ PDCAサイクルの中で分析を行い、政策の強化を図る際には、新たに生じた政策課題や、強化すべき分野などについても、効果的な目標設定を検討

グリーンインフラの導入を確実に進めていくためには、導入状況や効果を定量的に把握できる指標が有効です。「グリーンインフラ官民連携プラットフォーム 技術部会」などで指標が検討されているので、研究を進めていただくことを要望しました。

戦略17 多摩・島しょ振興戦略 について

本戦略には、実施状況を示す指標、グラフがありません。

「令和3年第3回都議会定例会」総務委員会で私は、「新しい多摩の振興プラン」の作成プロセスについて問題があると指摘しました。

質疑では、「新しい多摩の振興プラン」の目的と対象について質疑を行い、広く都民や多摩地域の市町村の皆様に、都の多摩振興の内容が伝わるよう、事業の担当局名などを詳しく記載したものであるとの答弁を得ました。

しかしながら、記載されている事業については、前年度末に新たな中期計画として都が策定・発表した「未来の東京戦略」から、多摩部関連の事業を抜き出し、2つの方向性と6つの区分のもと、事業名や、担当局名などを整理して作成したものであり、質疑を行った「令和3年第3回都議会定例会」では既に記載された事業が半年間走っている状況です。すなわち、その時も指摘しましたが、「新しい多摩の振興プラン」の実態は、決まった政策や事業が整理されたものであり、確定したものとして新年度に事業執行されている段階で、「計画等の策定に係る意見公募手続に関する要綱」に従って、パブリックコメントを行うのは妥当ではないことを指摘しました。

このような「新しい多摩の振興プラン」の作り方と、戦略17に実施状況を示す指標がないことには関係があるように思います。「未来の東京戦略」の策定にあたっては、当然ながら、市町村と意見交換をしているというでしたが、加えて、都として、戦略17に、「多摩や島しょを振興する」という戦略に沿ったアウトカム指標を設けるべきです。

具体的には、振興が目的なら、「人口」や「関係人口」、「事業所数および従業者数」、都が毎年実施している「都民生活に関する世論調査」で調査・集計している、住み続けたいかどうかを答える「地域定住意向」あたりがアウトカムとしてふさわしいように思う。

市町村と意見交換するとともに、都としてもアウトカム指標を設け、都が支援する各種事業を通じて、多摩や島しょが振興されているかを検証し、事業の精度をあげていくよう要望しました。

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