「令和4年度各会計決算特別委員会」第3分科会⑥~労働委員会

福島りえこ,世田谷区,都民ファーストの会,都議会議員ブログ

東京都労働委員会の令和4年度の実績を確認するとともに、労働問題の未然防止への取り組みを要望しました。

労働委員会について

労働委員会のホームページには、「労働組合と使用者(会社)との紛争解決のお手伝いをします」と記載してありますが、一般都民にとってなじみが少なく、詳しくご存じない方も多いと思います。

Q1 まず、東京都労働委員会はどういう機関なのか。どのような労働問題を取り扱っているのかを伺う。

A1(労働委員会事務局長)
・労働委員会は、合議制の行政機関であり、労働組合と使用者との間に発生した紛争、いわゆる集団的労使紛争を専門的に扱う
・その設置目的は、公平な立場の第三者として集団的労使紛争を解決することにより、労働基本権の保護と労使関係の安定・正常化を図る
・公益委員、労働者委員、使用者委員の三者で構成
・労使の委員がそれぞれの事情を反映させ、公平な立場の公益委員が取りまとめることで、納得性の高い解決を図る

組合に加入していない労働者への対応

厚生労働省が昨年12月に発表した「令和4年労働組合基礎調査の概況」によれば、令和4年6月 30 日現在における単一労働組合の労働組合数は23,046 組合、労働組合員数は999 万 2 千人で、前年に比べて労働組合数は 346 組合(1.5%)減、労働組合員数は 8 万 6 千人(0.8%)減少、推定組織率(雇用者数に占める労働組合員数の割合)は16.5%と前年より0.4 ポイント低下しており、組合に加入していない労働者の方が多く、平成から令和にかけてさらに増加傾向にあります。

Q2 労働組合に関わらない労働者個人やフリーランスなどの労働問題は、どのような解決がなされているのかを伺う。

A2(労働委員会事務局長)
・労働者個人の賃金未払いや解雇など個別労働紛争については、国の東京労働局や都の産業労働局の「労働相談情報センター」が、相談などを行う。フリーランスに対しては、厚生労働省が「フリーランス110番」の窓口を設置。さらに、裁判所が労働審判制度を設置。
・なお、労働委員会も含め、こうした機関が一堂に会する連絡協議会が定期的に開催されており、それぞれの支援制度の情報などを交換し、利用者に適切な窓口を案内するなど、相互に連携し対応

労働組合に加入していない労働者に対しては、国の東京労働局、都の産業労働局で対応し、労働委員会も情報交換に参加、連携していることを確認した。

東京都労働委員会の立ち位置

Q3東京都労働委員会が令和4年度に新規に申し立てられた事件件数はどうなっているのか。また、他道府県に比べると割合的にはどうなっているのかを伺う。

A3(労働委員会事務局長)
・令和4年度の新規申立件数は、不当労働行為審査事件が87件、調整事件が49件
全国における割合は、暦年ベースではあるが、審査事件は約4割、調整事件は約3割
・当委員会は、全国的に多くの事件を取り扱うとともに、新たな就業形態に対して労働組合法上の労働者に該当するとの判断を示し、全国のリーディングケースとなる命令を発出するなど、全国の労働委員会を牽引

全国の労働委員会の中でも、東京都労働委員会が審査事件の約4割、調整事件の約3割と、多くの事件を取り扱っていること、加えて、全国のリーディングケースとなる命令という答弁がありました。

「東京都労働委員会」で検索すると、東京都労働委員会が昨年11月に、料理配達サービスである「ウーバーイーツ」の運営会社などに対し、配達員らの労働組合との団体交渉に応じるよう命令した報道がでてきます。個人がインターネットを介して仕事を単発で受注する、いわゆる「ギグワーカー」も労働組合法上の労働者にあたるという判断で、法的判断としては国内初であったのことです。このような先駆的な判断を示すなど、大きな役割を果たしていることがわかりました。

労働問題の未然予防に向けて

労働組合と使用者との集団的労使紛争を扱うということであれば、介護人材や保育人材などのエッセンシャルワーカーの待遇の低さや、医師、教員、運送業者の長時間労働などの、昨今クローズアップされている労働問題についても、申請があるものと考えます。

Q4 そこで、東京都労働委員会に令和4年度に新規に申し立てられた不当労働行為審査事件の産業別割合を伺う。

A4(労働委員会事務局長)
・産業別の主な割合は、製造業が13.8%と最も多く、続いてサービス業が12.6%、教育・学習支援業及び医療・福祉業が11.5%

業種別に就業者数が異なるので、これで規格化する必要があります。「東京都の統計」に、令和4年10~12月期平均の「産業別就業者数」がありました。令和4年の「産業別件数」を、この「産業別就業者数」で割ると、順位は以下のようになりました。

1 教育・学習支援業
2 建設業
3 製造業
4 その他サービス業
5 運輸・郵便
6 学術研究、専門・技術サービス業
7 医療・福祉

なかでも教育・学習支援業が突出しており、先に述べたクローズアップされている労働問題は、審査件数にも表れていると考えられます。不当労働行為の救済申立てが様々な業種からなされると思いますが、その中には、昨今の労働問題を反映した事件も多く含まれていると考えます。

労働委員会は労働組合と使用者との間の紛争解決のための中立的な審査機関ですが、引き続き産業労働局などの関係機関と連携して、東京の様々な労働問題の予防や解決に向けて、引き続き取り組むよう、要望しました

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