「令和4年度各会計決算特別委員会」第3分科会⑤~都市整備局(3)耐震化の推進と再生骨材コンクリートの需給バランス改善

福島りえこ,世田谷区,都民ファーストの会,都議会議員ブログ

耐震化関連事業の進捗確認に加え、再生骨材コンクリートの需給バランス改善に向けて質疑、提案をしました。

建築物の耐震化について

昨年12月に都が公表した「TOKYO強靭化プロジェクト」によれば、緊急輸送網の確保に向けた特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率は、過去10年で81.3%から91.6%に向上したとされています。

Q1 特定沿道建築物の耐震化がこれまでどのように進捗しているのか。また、目標達成に向けた取組について伺う。

A1(耐震化推進担当部長)
・ 特定緊急輸送道路沿道建築物については、令和7年度末に総合到達率99%以上とする目標に対し、令和4年12月末時点では92.6%となっており、総合到達率の指標を導入した令和元年12月末時点の91.1%から1.5ポイント上昇
・ これまで、建物所有者への個別訪問等による働きかけやアドバイザー派遣、改修費用の助成などを行ってきた
改定した耐震改修促進計画では、検討の初期から工事の完了まで一貫して対応できるよう、アドバイザー派遣制度を拡充することとしている

令和元年12月~4年12月の進捗具合を外挿しても、令和7年末の到達率99%には至りません。答弁にあった「検討の初期から工事の完了まで一貫して対応できるように、アドバイザー派遣制度を拡充」することにより、これまでの単発のアドバイザー派遣では難しかった伴奏型支援が可能になり、合意形成が進むことが期待されると聞いています。今後とも、事業の実施を通じて得た知見を活かし、事業のブラッシュアップを継続していただくよう要望しました。

特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について

都は、東京都耐震ポータルサイトでは、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化状況を公表、そこでは、都県境入口からある区間に到達できる確率「区間到達率」と、区間到達率の変化が、色分けしてわかりやすく示されています。

これによれば、山間部の青梅街道で、区間到達率50%未満の領域が長く続いており、かつ、区間到達率の改善も進んでいないことがわかります。

Q2 震災時の他県からの物資輸送等で重要なルートとなる青梅街道の青梅駅より西側の区間について、耐震化の状況と取組を伺う。

A2(耐震化推進担当部長)
青梅街道のうち、青梅駅より西側についての区間到達率は44.2%
・ これまで、建物所有者に対し耐震化を促すとともに、耐震化の状況を把握してきた。また、目標年次までに着実に耐震化を進めるため、倒壊の危険性の高い建築物について、令和4年度は法や条例に基づく指導を行っている
・ 当該区間の沿道建築物は個人住宅かつ高齢世帯が多く、住民に身近な地元自治体の役割も重要であることから、引き続き、地元自治体と連携して耐震化に取り組む

青梅街道の当該領域は道幅も狭いため、民家が倒壊するだけでも交通確保が難しくなると聞いています。当該エリアが被災した場合の救急支援活動のためのみならず、隣接県や都心が被災した場合も、人や物資の往来のための重要な道路であり、個人宅への訪問回数を増やしたり、住民だけでなくご家族も含めた話し合いの場を設けていくなど、地域事情を考慮した取り組みの強化を求めました。

住宅の耐震化について

「TOKYO強靭化プロジェクト」では、住宅の耐震化率も、過去10年で81.2%から92.0%に向上したとある。

Q3 旧耐震基準の住宅耐震化の目標に向けて、どのように進捗しているのか、伺う。

A3(耐震化推進担当部長)
・ 旧耐震基準の耐震性が不十分な住宅約56万戸を令和7年度末までにおおむね解消するという目標に対し、令和元年度末現在の耐震化率は92.0%
・  改修への助成件数は、令和3年度が570件、令和4年度は966件となっており、着実に助成件数が増加している

残り8%といえば約5万戸であり、特定沿道建築物の耐震化と違い、都が助成などを通じて関与できる範囲は限定的であることがわかります。

「TOKYO強靭化プロジェクト」では更なる取り組みとして、新耐震基準の中で築年数の古い木造マンションへの耐震化の支援を拡充することを表明しています。

Q4 新耐震基準の木造住宅の目標と取組について、また、対象戸数についてもあわせて伺う。

A4(耐震化推進担当部長)
・ 令和4年度末に改定した耐震改修促進計画において、新耐震基準を含め、耐震性が不十分な全ての住宅を令和17年度末までにおおむね解消することを目標とし、診断や改修等に対する助成を行うこととしている。
・ また、耐震性が不十分な新耐震基準の木造住宅の戸数は約20万戸と推計している。

旧耐震基準の耐震対策が残り5万戸を対象にしているのに対し、耐震性が不十分な新耐震基準の木造住宅の戸数は約20万戸と、新たな取り組みの妥当性を確認しました。新耐震というだけで安心している人は少なくないことが予想されます。丁寧な啓発を要望しました。

福島りえこ,世田谷区,都民ファーストの会,都議会議員

再生骨材コンクリートの利用拡大について

東京都建設リサイクル推進計画では、東京の持続的な発展を目指すためには、建設副産物の発生を抑制した上で、建築物や土木工作物に蓄積された建設資材を有効に再利用し、環境に与える負荷を軽減することが重要です。

土木構造物や建築物の解体により生じるコンクリート塊については、これまで主に再生砕石にリサイクルされ路盤材等として使用されてきましたが、道路需要が減少する一方で、市街地再開発事業や高度成長期に建設されたコンクリート構造物の更新を迎えている都内では、再生砕石の滞留が顕在化しています。

ここで着目されているのが、コンクリート塊をコンクリート用骨材にリサイクルする、再生骨材コンクリートです。しかしながら、都内の再生骨材コンクリートの製造プラントでは、再生骨材コンクリートの利用が進まないため、コンクリート塊の受け入れが滞っていること、その結果、都外のプラントまで運ばざるをえないという声が、複数の団体から届いています。時間と費用を無駄に労するだけでなく、CO2削減にも逆行しかねない状況です。

Q 令和4年度における、再生骨材コンクリートの利用拡大に向けた、都市整備局の取組み状況について伺う。

(まちづくり調整担当部長)
・都は、再生骨材コンクリートの利用拡大に向けて、東京都環境物品等調達方針において環境負荷の少ない建設資材として位置付け、公共工事での使用を推進している。
・令和4年度は、利用の促進に向けた課題を把握するため、再生骨材の製造者や再生骨材コンクリートの使用者などの関係業界団体にヒアリングを実施した。

我が会派が関係団体に利用が進まない理由についてヒヤリングしたところ、以下が判明しました。

再生骨材コンクリートを製造するプラントの数が少なく、かつ、都内に偏在しており、製造から利用までの時間に制約があるというコンクリート利用の性質上、現状は都内で利用できるエリアが限られていること
・製造プラントが天然骨材コンクリートの製造と同じラインを使っていて、切り替えには工数を要するが、再生骨材コンクリートの需要が見込めないと、ラインの切り替えができないこと

よって、再生骨材コンクリートの利用を促進するために、

①(建設業者が利用したいと思ったら確実に使えるように、まずは)再生骨材コンクリートを製造するプラントの数を増やし、都内全域で利用可能な体制を整える
②(それには事業への新規参入を促す仕組みが必要であり、少なくとも)東京都の発注する再生骨材コンクリートを使う工事の場所や時期、使用量を事前に公表することで、製造側が需要量を把握できる仕組みをつくる

の2点について、検討を要望しました。

eSGまちづくり戦略

昨年度の各会計決算特別委員会でも、わが会派から東京ベイeSGまちづくり戦略の策定の背景や経緯、具体的な取組について質問をしました。

Q  東京ベイeSGまちづくり戦略の、令和4年度の進捗について伺う。

 (まちづくり調整担当部長)
・ 都は、2040年代のベイエリアを実現するための行政の取組や民間誘導の方策を示す実行戦略として、東京ベイeSGまちづくり戦略を令和4年3月に策定
・ 令和4年度は、質の高い緑と魅力的な水辺空間の形成に向けて、海外の事例を参考にしながら、開発にあわせて建物低層部のテラスなどに立体的なみどりの空間を充実する方策や、台場地区をモデルとして、水辺・道路・民有地が一体となり、人を惹きつける空間の構成について検討

立体的な緑の空間の充実は、かねてよりわが会派が求めてきた取り組みであり、グリーンインフラにもつながります。水辺・道路・民有地が一体化した、魅力のある空間も、お台場の地理的特徴を活かした検討であり、隅田川や天王洲アイルなどの都内エリアへの展開が期待できます。

引き続き、50年・100年先の未来の東京の姿を描き続けるとともに、その実現に向けた実験・実証エリアとして、意欲的かつ果敢に取り組むよう要望しました。

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