「令和6年第2回都議会定例会」一般質問⑥~データに基づく都市交通政策の必要性

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都としての都市交通政策について

 コロナ禍を経て、ご高齢の方を中心に、バス路線が廃止または減便され、タクシーも捕まらず、移動に困るとの声が届いています。そこで、昨年秋の第12回都政報告会では、地域公共交通をテーマにとりあげました。

 都内はこれまで、人口密度が高く、交通事業が成り立ちやすかったことから、民間事業者に頼りつつも都市交通が維持されてきました。ところがコロナ禍で収支が悪化した事業者は、電車やバス便の減便やバス路線の廃止を実施、収益改善後もこれを回復していません。

 事業者都合で、JR京葉線の快速が大幅減便されたとの報道は皆さまの記憶にも新しいと思いますが、都が約2年前に策定した「東京における地域公共交通の基本方針」の民間に関する記載が「活用」や「連携」に留まるように、事業者都合の変更に対して、現状、都は交渉できる立場にありません。

 都市公共交通の維持には現状把握が不可欠であり、その基盤は交通データです。特に市民の身近な足である路線バス等の運行データのオープン化については、欧州では義務化、国内でも富山県では全て路線で完了、山形県では補助にあたっての要件にするなどしていますが、都では未だオープン化がなされておらず、このため都は、バス路線の廃止やバス便の減便を把握することさえできていません。

Q 民間主導ではなく、公として都市公共交通網の維持に取り組むため、まずはバスの運行データのオープン化をより一層促進し、データを活用した地域公共交通政策を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

A
〇 地域の移動サービスを確保するためには、区市町村が運行データに基づく交通政策を 立案し、利用者ニーズを踏まえた効果的な交通体系を実現することが重要。
〇 都は、 バス事業の運行データ共有化を促進するため、コミュニティバスについては、 共通データの整備費を補助するとともに、運行経費の補助要件にデータ公開を定めている。
〇 路線バスについては、今後、バス事業者等との連絡会にワーキンググループを設置し、 共通データの作成、公開を技術的側面から支援
〇 こうした取組を通じて、誰もが利用しやすい地域公共交通サービスを実現。

 江戸川区では、「利便増進実施計画」を策定この中で幹線道路のバス運行回数の下限を設定し、これを下回る場合は協議を行うとしています。各基礎自治体に好事例として展開するとともに、事業者との関係構築を支援するよう求めます。

 そして本来、都市公共交通政策は、より大きな視点で取り組むべきものです。モーダルシフトは、渋滞解消や平均旅行速度の改善などの交通システムのパフォーマンス向上とそれに伴う生産性向上、CO2削減、さらには高齢者の運転免許証返納の推進や観光施策にまで影響することから、欧州では行政が資金を投入しその維持に取り組んでいます。

Q コロナ禍や2024年問題等の社会の変化を受けて都内公共交通の劣化が認められるこの機をとらえ、交通弱者にやさしい、サステナブルな東京実現にむけ、持続可能な交通政策に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。

A
〇 交通政策の推進には、利用者本位で使いやすく、 環境負荷も低減する総合的な交通体系の実現が重要である。
〇 都はこれまで、 関係機関と共に鉄道路線の整備を進め、世界トップレベ ルの高密な鉄道網を構築してきた。 この強みを生かし、駅を中心にバス 等の交通モードを組み合わせ、乗換え利便性の高い交通環境の充実に取り組んでいる。
〇 さらに、 バス交通については、 運行データの共有化等を進め、課題の的確な把握に努めるとともに、将来の適切な維持に向け、地域のニーズに合わせた自動運転バスの導入等について調査検討を開始
〇 社会の変化に適切に対応し、持続可能な公共交通の実現に取り組む

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