港湾局 事務事業質疑 ~水辺のライトアップ、港湾の電子化、離島航空路便数復旧

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運河工リアのライトアップ

2001~2013年の間、私は、江東区の青海や、中央区の佃など、湾岸エリアに住んでいました。散歩やジョギングだけでなく、子どもと川辺のベンチで軽食を食べるなど、水辺の魅力を実感してきました。水辺には、都市部ではなかなか得られない視界の広がりがあります。

臨海部の、朝潮運河、豊洲運河、芝浦運河、京浜運河などの運河について、都は、魅力ある夜景を創出するため、平成30年3月に「運河エリアライトアップ・マスタープラン」を策定、区や民間事業者等と連携し、都が所有するインフラ施設等のライトアップにより夜景のプラックスポット(暗がり)を解消するとともに、周辺ビル群や遊歩道照明などとの調和の取れたライトアップをすることで、舟旅や水辺の散策等が楽しめる魅力的な夜間景観を創出、観光資源としての水辺空間の魅力向上や舟運の活性化に繋げようとしています。

地区:「日の出・竹芝地区」、「芝浦港南地区」、「天王洲地区」
目的:東京2020大会までに、良好な夜間景観を創出
方法:平成30年度より各重点地区に、都と地元区、民間事業者などが参加するライトアップ促進協議会を設置
成果:はし、水門、橋りょうなどの施設と周辺の建物や遊歩道の照明との色調の調和などについて色彩の専門家を交えて検討、「日の出ふ頭上屋」、高浜運河に架かる「御楯橋」、「天王洲水門」などで令和元年度よりライトアップを開始、東京港内に新たな夜景景を創出。

以上を踏まえ、以下について質疑しました。

Q ライトアップの取組みを広げるためには、最初は、行政が水門や都立公園などの都有施設を中心にライトアップを始めるとしても、今後は、民間事業者が、運河周辺の建物のライトアップ等に率先して取り組んでいくことが必要である。そのためにはこれまで取り組んできた先行事例において、例えば、ライトアップ前後の駅の乗降客数の変化や、人の流れの変化など、成果を具体的に示すことが、取組みへの理解を広げることになると考える。そこで、運河工リアにおけるライトアップの更なる推進に向けて今後どのように取り組んでいくのか伺う。

A 重点地区については、東京2020大会に向けて引き続きライトアップ施設の充実を図っていくとともに、ライトアップの機運が醸成されつつあるその他の運河エリアにおいても新たな協議会の設立を目指し地元区と連携しながら、関係者との調整を進める。その際、各重点地区における賑わいの創出事例を紹介するとともに、議員が指摘したとおり、ライトアップ前後における最寄り駅の乗降客数や船着き場を発着する船舶利用客数の推移といったデータなども示しながら、地元区や民間事業者等の気運を高める。また、舟運事業者等とも情報共有を図り、ライトアップされた運河の美しい景観が楽しめるコースの提案など舟運観光とも連携を図りながら、観光資源としての舟旅や水辺の活性化に繋げる。このような取り組みにより運河エリアのライトアップを推進し、来訪者を魅了する東京の水辺空間を創造。

答弁前の調整において、担当者からは、「今まで調査してこなかったが、今回の質疑を機にデータを調べたい」とお話しいただきました。答弁も、私が求めた「最寄り駅の乗降客数」に加え、「船着き場を発着する船舶利用客数についても調べる」との大変前向きな答弁でした。建設的な議論ができて嬉しいです!

コロナの影響は、「差の差分析」で取り除くことも可能だと考えます。ライトアップの取組により魅力的な夜景景観を創出して東京の集客力を高め、コロナ禍の中で落ち込んだ経済の再生につながるよう、都の一層の頑張りに期待します!

港湾の電子化

東京港のコンテナ取扱量が増える一方で、港頭地区におけるトラックの「長時間待機」問題が発生しています。これは、コンテナターミナルでのコンテナ受け渡しのため、トラックが集中することによって、待ち時間が発生しているもので、既に港湾局は、ターミナルゲート時間の早朝拡大や、コンテナ引き取り時間の予約の検討に着手するなど、待ち時間減少のための取組を行っています。

諸外国においては、情報通信技術を活用した港湾物流効率化の取組が加速しており、国も、平成30年に「港湾の電子化(サイバーポート)推進委員会」を立ち上げ、IT技術を活用した貿易手続き等に関する情報の電子化や、関係者間でのデータ利活用の推進など、港湾の全体最適化について取組を推進しています。増加する貨物量に対して港湾設備が不足する東京港が、国際競争力を維持するには、港湾設備(ハード)とシステム(ソフト)のハイブリッドは欠かせません。ハードがダメならいくら最適化しても限界があります。

Q ハード整備には一定の時間を要するものであるが、今後さらにハードを充実していくことを視野に入れながら、情報の電子化やデータの利活用などのソフトの充実を速やかに図っていくべきである。Q競争力のある仕組みとしていくためには現場の声、意見は重要である。国が推進するサイバーポートの実現に向けて、都はより主体的にかかわるべきと考えるが、見解を伺う。

A 「港湾の電子化推進委員会」において、現在国は、サイバーポートの実現に向けて、その基礎となる「港湾関連データ連携基盤」というプラットフォームを構築し、物流関係者間の貿易手続きの共通化に向けた取組を実施。現在、主として民間事業者間の手続きの電子化、ペーパーレス化や、税関手続き等との連携などを検討。合わせて、今後、港湾行政手続きとの連携についても予定されており、その議論が開始されたところであることから、都は、港湾の現場を持つ強みを生かして積極的に意見を発信

手続きの電子化に関する答弁でしたが、私の述べる電子化の概念はより広い内容です。例えば、数多くのコンテナ貨物を、船舶から下ろし、またターミナル内へ蔵置し、さらには多数の海上コンテナ輸送車両に渡すという作業をいかに効率的かつ短時間で行うかという最適化には、港湾の設備を含めた電子化が必要です。

国土交通省は、大型コンテナ船の寄港の増加による荷役時間の長期化や、コンテナターミナルのゲート前渋滞の深刻化に対応するため、生産性向上と、労働環境の改善を目的とした「AIターミナル」の実現に向けた目標と工程を、昨年度末に公表、そこで扱う内容は以下の5項目とされています。

① ガントリークレーンにおける熟練者の暗黙知の継承
② ヤードクレーンの遠隔操作化・自動化
③ 保管ヤードにおけるコンテナ蔵置場所の最適化
④ ターミナルゲートにおけるダメージチェックの効率化
⑤ 搬出入票の自動照合などゲート処理の迅速化

③の最適化は「品名、荷主名、過去の搬入・搬出日時等のビッグデータをAIで分析し、コンテナの蔵置場所を最適化したり、荷役機械等の配置・作業タイミングを最適化し、本船荷役と外来トレーラー荷役を両立する」という内容で、港湾設備や、東京港を利用するコンテナ船、海上コンテナ輸送車両、すなわちハードと切っても切り離せません。国土交通省が主導するとはいえ、できたシステムを使うのは東京港です。主体的な取り組みを求めました。

質疑では触れませんでしたが、最適化問題を得意とする計算機に、量子コンピュータがあります。この領域をけん引するD-waveの基本技術は日本が発明した「量子アニーリング」と言われています。このあたりも是非活用してもらいたいものです!

離島航空路

島民の足である航空路の便数増減は、商工業者や観光関連業者に大きな影響を与ます。

 コロナウイルス感染症の影響で減便されたが、コロナの感染状況が改善し次第、例えば、羽田・八丈島航路は2便に減便されているが3便体制に戻すべき。見解を伺う。

A 離島航空路は、島しょ地域の住民にとって、本土との往来の移動手段であり、さらに羽田・八丈島航路については日用品や生産品の輸送手段としても必要不可欠。都は、これまでも国とともに離島航空路運航費補助などで運航事業者を支援してきた。加えて、コロナ禍による運航事業者の減収分も6月の補正予算で支援。都としては、引き続き、運航事業者の支援を確実に行い、航空路の維持を図るとともに、島民生活の安定と島しょ地域の産業等を守るため、コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、適切な時期に、便数の復旧を運航事業者に働きかける

丁寧な対応を求めました。

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