「令和3年第3回都議会定例会」総務委員会~政策企画局④「国際金融都市・東京」構想改訂(案)

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元同僚都議の増田一郎氏はじめ、金融分野の知人等にも意見をいただき、以下の質疑案を作成、会派を代表して、あかねがくぼ都議に、「国際金融都市・東京」構想改訂について質疑してもらいました。

年間20億円強の予算で、2025年には5兆円、2030年には10兆円の波及効果を目指す、大変意欲的な取り組みです。

ソーシャル・インパクト・ボンドの調査研究の推進に関する質疑は、「2020年に向けた実行プラン」実施状況レビューレビューの質疑で行った、ロジックモデルの重要性と同じく、事業と政策の効果を紐づける取り組みを促す内容です。

「国際金融都市・東京」構想の成果

改訂案を拝見。諸都市との比較を通じて、東京が目指す国際金融都市の姿として、企業の集積や証券取引所を擁する金融取引の中心地となり、産業への投資(資金提供)を魅力に投資家が集まる都市、を目標に、ESG投資、金融のデジタル化、多様なプレーヤーの集積に取り組むという内容。勉強させていただいた。

2017年に策定した現在の構想でも、魅力的なビジネス環境や生活環境の整備を通じて、東京市場に参加するプレーヤーの集積に力点が置かれてきた。

Q1 そこで、まず、金融系外国企業の誘致の実績について伺う。

A1 平成29年度からの4年間で40社の海外金融系企業の誘致を目標に掲げて、インセンティブの付与や規制緩和等の様々な取組を実施してきた。4年計画の途中である令和元年度にはこの誘致目標を50社に引き上げ、取組を加速させてきた結果、資産運用業者23社、フィンテック企業27社、合計50社の誘致に成功。

目標値は、1990年当時の数値に並ぶと聞いている。上回る実績をあげたことを評価。

Q2 企業誘致に関しては、昨年度、香港に相談窓口を設置したと理解している。開設以降、どの程度の実績が出ているのか。

A2  昨年10月、香港に「ビジネスコンシェルジュ東京」として海外で初となる窓口を設置以降、本年8月末までに金融・非金融合せて100社を超える企業からの相談実績。こうした中、相談企業の中から実際に2社が東京への進出を決定するなど、窓口設置が一定の成果を上げていると考えている。

100社以上の相談を受け、2社が進出を決めたとのこと。機を得た取り組みを評価する。

新たな構想のもとで、さらに金融関係プレーヤーの集積を図っていくには、引き続き、ビジネス環境や生活環境の整備に取り組んでいくことが重要と考える。

ビジネス環境という面では、1番に、税制の課題があげられてきた。国への継続的な働きかけなどにより、「この国では死ねない」までと言われた、外国人の海外資産に関する相続税の見直しが実現するなど、一定の進展がみられているが、日本進出の検討の誘因とするには、これで十分と言い切れるわけではないと思う。

Q3 そこで、更なる税制の見直しに向けて、都としてどのように取り組んでいくのか。

A3 税制改正については、相続税における国外財産課税の見直しや、法人税における役員の業績連動給与の損金算入範囲の拡大等で一定の進展が見られたものの、海外企業等からは、引き続き、法人税率の高さなどが、日本進出の課題との指摘。今後とも、関係者のニーズを把握し、必要な税制の見直し等を国へ要望。

継続して働きかけをしていただきたい。


税制についで、日本進出の障害要因の一つとして挙げられるのが言語の問題。

Q4 海外企業の誘致に向けては、行政手続きの英語化を強化すべきと考えるが、どのように取り組んでいくのか伺う。

A4 都では、ビジネスコンシェルジュ東京において、英語による金融ライセンス取得手続の相談に対応するとともに、手続に係る「英語解説書」を本年4月に最新の情報に改訂するなど、きめ細やかな対応を実施。国に対し英語による対応を要望。本年1月、事前相談からライセンス登録後の監督まで一貫して英語対応可能な拠点開設サポートオフィスが開設。今後とも、関係機関と連携しながら、金融系外国企業が英語で円滑に東京への進出を図ることができる環境の整備に取り組む。

日本の金融独自の専門用語もあると聞く。翻訳を超えた、英語と金融をハイレベルに理解したプロフェッショナル人材の育成が必要。後でも述べるが、都立大や産技大で、金融関係者が、最新の金融、そして英語を学べる環境も大切。

加えて、国際金融都市としてのプレゼンスを高め、海外企業の誘致を進めていくためには、誘致したい企業や国に対する、対外的なプロモーションも重要。

Q5 新たな構想の中核であるTokyo Green Finance Initiative(TGFI)をはじめ、「構想」で目指す姿や、具体的な取組に関する発信を強化していくべき。

A5 国際金融都市としての東京の魅力や都の具体的な支援策等を広範かつ戦略的に情報発信することは極めて重要。TGFIをはじめ構想改訂内容を分かりやすく国内外に発信するため、様々な行事を活用したPR、解説・プロモーション動画の作成・配信等を実施。平成31年に我が国初の官民連携の金融プロモーション組織として設立した「フィンシティ トウキョウ(FCT)」において、SNSやマスメディアなど多様な媒体を駆使した多面的なプロモーション活動を展開。今後とも、FCTと緊密に連携しタイムリーで分かりやすい発信を実施。

情報発信においては、FCTが重要な役割を担っていることがわかった。

Q6 FCT設立以降、これまでの実績について伺う。また、コロナで移動が制限される中で、どのような工夫をされてきたのか、併せて伺う。

A6 FCTは、金融系外国企業の誘致に向け、東京市場の魅力等を発信するネットワーキングイベントの実施や資産運用事業者の育成による市場の活性化、海外の金融プロモーション組織との連携等、様々な取組を展開。海外プロモーションに関しては、コロナ発生前の令和元年度には海外5都市で延べ7回、国際金融都市・東京の魅力を紹介するイベントを実施。コロナ禍下の昨年度は、オンラインセミナー開催、他団体主催のオンラインイベントへの登壇等、デジタルを駆使し国内外で積極的に活動を実施。

引き続き、国際金融都市としての東京都の魅力、目指す姿を伝えていただきたい。

また、都は、2017年にシティ・オブ・ロンドンとMOU(合意書)を締結した。

Q7 これまでの英国シティとの連携の実績と、今後の取組について伺う。

A7 平成29年に金融分野の合意書を締結し、グリーンファイナンスの推進に向けたセミナーを毎年度開催。コロナ禍前は、都職員を派遣し、情報収集等、様々な活動を実施。今後、都知事とロード・メイヤーの意見交換を継続的に行うこと等も通じ、両都市の主要産業である金融分野での連携を更に深め、次の施策展開に活かしていくことで、それぞれの都市の成長と発展につなげていく。

先行する都市から学ぶことは大切。

「国際金融都市・東京」の改訂について

Q8 都は東京金融賞において、ESG投資部門を設けて表彰を行っていると承知しているが、新たな取組があれば伺う。

A8 「東京金融賞」におけるESG投資部門では、ESG投資の普及活動を実践する金融事業者やSDGs経営の取組を実践する事業者を、毎年3社程度表彰。この部門において、今年度は新たにグリーンファイナンスの取組において優れた事業者を「グリーンファイナンス知事特別賞」として表彰予定。

都は東京金融賞において、ESG投資部門を設けて表彰を実施、今年度は新たにグリーンファイナンスの取組において優れた事業者を「グリーンファイナンス知事特別賞」として表彰予定と聞いている。金融の発展と都市の持続性を高める大変良い取り組み。

我が国の金融のデジタライゼーションの遅れが指摘されている。一方で、先日、日本のフィンテック企業が海外企業に巨額で買収されるという報道があったように、フィンテック企業が生まれる素地はある。

Q9 金融のデジタライゼーションに向け、フィンテック企業の育成をどのように進めていくのか伺う。

A9 金融のデジタライゼーションの担い手となるフィンテック企業の育成に向けては、資金面や経営面で支援を実施。今年度、新たに都の出資を呼び水とした官民連携ファンドを創設し、国内フィンテック企業の育成に取り組む。フィンテック企業のビジネス機会の創出に向け、東京金融賞の金融イノベーション部門の一次審査を通過した企業15社程度に対し、ビジネスプランの作成支援やマッチング等の支援プログラムを実施。

フィンテックをはじめベンチャー企業の振興には、企業同士のネットワークが生まれやすい環境、エコシステムが重要であり、あかねがくぼ都議も、折に触れ、その重要性を訴えてきた。

Q10 都が取り組んできた、エコシステムの形成について、現在の取組状況について伺う。

A10 都はこれまで、5つのエリアを認定し、地域の自律的なエコシステム形成を促進する「イノベーション・エコシステム形成促進事業」などを実施。令和2年1月に「スタートアップ・エコシステム・東京コンソーシアム」を設立、企業、大学、ベンチャーキャピタル、自治体等の幅広い主体の参画の下、スタートアップ創出・成長を支えるエコシステムの形成を推進。こうした取組の中で、フィンテックを含む、優れた技術やアイデアを有するスタートアップ企業の育成を図っていく。

丁寧な取り組みを確認した。

ソーシャル・インパクト・ボンドの調査研究の推進

ESG投資も昨今は、姿勢ではなく成果、インパクトが求められるようになっている。この先、インパクト投資の重要性が高まることは確実。

Q11 インパクト投資をはじめ、投資対効果がより明確な金融の発展を推進すべき。

A11 社会問題や環境問題の解決を目的として投資を行い、社会的成果と経済的利益の両立を目指す「インパクト投資」の発展は、「サステナブル・リカバリー」の推進に大きく寄与するものと認識。今後、インパクト投資等の新たな金融手法について、国や民間企業等の動向、自治体に求められる役割などの観点から、調査、検討。

インパクト投資は、英国が発祥の地。シティ・オブ・ロンドンから、インパクト投資についても情報交換するとよい。また、シンガポールでは、IT人材の育成プログラムを、大学に依頼、毎年更新しているという。都のシンクタンクである都立大や産技大などを活用し、インパクト投資に関する研究や、金融人材育成を担ってもらうのもよいと思う。

Q12 目指すべき国際金融都市像の達成に向けたロジックモデルを構築して取り組んでいくことが重要と考えるが、見解を伺う。

A12 改訂案を検討する有識者会議においては、現在の構想に基づく取組の成果、東京の強みや課題の分析を行った上で、新たな構想で東京が目指す姿、その実現に向けた施策の体系について議論を実施。新たな構想では、施策の柱ごとにKPIを設定して目標管理を行い、達成度を検証しながら取組の深化を図っていく。

「国際金融都市・東京」の条例化について

Q13 令和3年第1回定例会では、知事が条例化を含めた検討を行う旨答弁したが、その進捗について伺う。

A13 本年第一回定例会では、国際金融都市として発展していくため、サステナブルファイナンスの分野でリーダーシップを発揮していくとともに、条例化の検討を含め、様々な施策を積極的に展開することで東京の持続的な成長につなげていくと答弁。今般改訂する新たな構想をもとに、国際金融都市としてのプレゼンス向上に向けて、条例化の検討も含め、多様な取組を実践していく。

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