「令和4年度各会計決算特別委員会」第3分科会①~中央卸売市場

福島りえこ,世田谷区,都民ファーストの会,都議会議員ブログ

10/20の午後は令和4年度各会計決算特別委員会第3分科会でした。私は、中央卸売市場と産業労働局それぞれの決算について質疑に立ちました。

食肉市場の役割

先だって行われた委員会の事前説明において、令和4年度の芝浦と場でと畜解体した頭数が、牛8万頭を超え、豚については20万頭を超えたとの報告がありました。食肉市場には、全国各地から神戸牛や松坂牛などのブランド牛が集まるだけでなく、と畜された枝肉も多く搬入されていると聞いています。

Q1 そこで、食肉市場に集荷されている牛や豚の取扱頭数について伺う。

A1(市場政策担当部長 答弁)
○食肉市場で集荷されている牛や豚は、芝浦と場でと畜された生体枝肉と、他のと畜場でと畜された搬入枝肉に分けられる。
○令和4年度の牛の取扱量は、
と畜解体頭数     87,387頭
搬入枝肉           49,726頭
合計                137,113頭
豚は、
と畜解体頭数    207,833頭
搬入枝肉          846頭
合計                208,679頭

農林水産省による「畜産物流通調査」令和4年の「畜産物流通統計」によれば、
全国の成牛のと畜頭数は  108万2000頭
全国の豚のと畜頭数は  1,657万7000頭
とのことです。

つまり、都の食肉市場では、全国でと畜された頭数のうち、牛で13%、豚で1.3%を扱っていることになります。まさに食肉流通の中核的拠点であり、1,400万人都民の食肉需要を支えるとともに、安全で高品質の食肉供給に欠かせない役割を担っていることを改めて理解しました。

安定した集荷に向けた取り組み

安定した食肉供給には集荷力が求められるため、卸売業者の役割は大変重要です。食肉市場の卸売業者は、東京食肉市場株式会社1社のみであり、不断の努力で生産者との交渉を実施していると予想されます。

Q2 そこで、都として安定した集荷を実現すべく支援を行っていることが伺われるが、都の対応について伺う。

A2(市場政策担当部長)
〇 安定した食肉供給を継続していくためには、産地からより多くの生体を出荷していただけるよう、産地のニーズに沿った卸売業者による集荷対策が重要
〇 令和4年度については、市場業界等が主催する枝肉の品評会に対し、都が後援を行うことで、卸売業者が品質の優れた牛や豚を集荷できる取組を後押し
〇 また、暑さなどにより、豚の集荷頭数が減少する夏季において、生産者の出荷に要する費用に対する助成を行い、出荷を促進する取組を実施

都が、集荷対策に対して積極的に支援していることが分かりました。近年の夏場は猛暑日が多く、牛や豚を輸送する際には熱中症などにも十分配慮する必要があることから、取組の継続を要望しました。

施設整備について

と場会計の内訳のうち、施設整備費にかかる執行率が70.1%と、昨年度に比べても低くなっています。

Q3 そこで、令和4年度に実施した施設整備の概要と執行率が低い理由について伺う。

A3(市場政策担当部長)
〇 令和4年度に実施した施設整備については、内臓を運ぶコンベアの改修工事など、各作業工程で老朽化の進む箇所を優先的に実施しながら、予算計上したすべての工事を発注
〇 執行率についてはご指摘の通り約70%であるが、これは、コスト縮減を図るため、発注時に費用の積算や整備内容を詳細に見直したことが、理由として挙げられる

令和4年度における施設整備の執行率が低い理由について確認しました。積算の再精査や計画の見直しなど、都が精力的にコスト縮減を考えながら施設整備をしていることは大いに評価できます。

一方、今年度、我が会派が東京食肉市場協会から話があった要望も、
 ・市場棟2階の、高架軌条(レール)の維持保全と壁面の補修
 ・センタービルの補修、及び、冷却設備の改修
 ・空調設備の増強
などの、施設整備に関するものでした。引続き現場の声を聴き、施設整備と維持管理に取り組んで頂くよう求めました。

HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害要因分析重要管理点)について

食の「品質・安全性の向上」のための衛生管理手法であるHACCPは、令和3年度の食品衛生法改正により、原則としてすべての食品関連事業者に、HACCPに沿った衛生管理が義務化されたことから、と場においても導入しているものと思います。

Q4 そこで、と場のと畜作業におけるHACCPに対応した品質衛生管理の取組について伺う。

A4(市場政策担当部長)
〇 と場では、平成30年度から本格的にHACCPに基づく衛生管理を導入
〇 具体的には、まず、と畜作業前においては、手洗い消毒を行うとともに、と畜作業中においては、使用したナイフを、一頭ごとに83℃以上の熱湯で消毒
○ さらに、休憩後には、手洗いや作業着のシャワー消毒を実施するなど、それぞれの工程においてHACCPに基づく衛生管理を徹底
〇 これらのと畜作業については、外部のと畜検査員により継続的にHACCPが適切に行われているか検証されており、検証結果を活かしてさらなる衛生管理の向上に努めている

と畜作業において、義務化に先立ち、HACCPに対応した品質衛生管理を導入、継続して行っていることを確認しました。HACCP管理の目的は、食品の安全性の獲得ですが、農林水産省のアンケートによれば、「従業員の意識の向上」や、「企業の信用度やイメージの向上」にもつながるとされています。

多くの食肉を取扱う観点からも、引き続きの対応をお願いしました。

柔軟なと畜日の設定

農林水産省の「農林水産統計」によれば、食肉の需要は、年末年始や年度末などのイベントが多い季節に高くなっています。こうした繁忙期に食肉を供給していくには、と畜作業においても柔軟な対応が求められます。

Q5 そこで、令和4年の、年末年始など、食肉需要が多い時期のと畜作業に関する取組について伺う。

A5(市場政策担当部長)
〇 新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、都内で飲食の機会が徐々に増加していることなどを背景として、年末年始などの繁忙期においても、安定した食肉の供給を行うことが求められている
〇 このため、業界からの要望を受け、繁忙期となる令和4年11月から令和5年1月の期間に、牛と豚を臨時にと畜する機会をそれぞれ2回設けた

繁忙期におけると畜作業の内容について理解しました。年末年始の繁忙期にと畜日を設けることは、生産現場側からしても魅力となり、集荷量の増加につながると聞いているので、今後も、業界の要望なども踏まえながら、安定したと畜場の運営に取り組んでいただくことを要望しました。

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