「令和4年度各会計決算特別委員会」第3分科会②~産業労働局

福島りえこ,世田谷区,都民ファーストの会,都議会議員ブログ

続いて、産業労働局の決算については、会派として推し進めてきた「東京版ニューディール(再就職支援)」「女性しごと応援キャラバン」はじめ、全体について清水やすこ都議が質疑し、成果や進捗を確認してくれたので、私は、中小企業振興策にける生産性向上と待遇改善の観点の導入に絞った質疑を行いました。

事業実施前後の生産性側面の報告の義務化

日本の産業競争力が低下した原因の一つとして、労働生産性の低さが指摘されています。

私はかねてより、業況判断指数・DI(ぎょうきょうはんだんしすう・ディーアイ)の改善、そして働き方改革を本当の意味で成功させるために、中小企業振興のための各種事業が「生産性」の向上につながったかどうかを検証することが重要であると述べてきました。

そして、令和3年3月の経済・港湾委員会の質疑において、「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」において、中小企業が導入する機器やシステムの検討から導入後の具体的な活用に至るまで、専門家が一貫してサポートし、生産性の向上に着実に結び付けること、「躍進的な事業推進のための設備投資支援」において、助成金の申請時に中小企業が生産性向上の数値目標などを設定し、助成後5年間にわたり状況を報告することにより、進捗に応じて適切にアドバイスを行い、目標達成につなげることを確認しています。

一方で、申請の際に事業効果の定量的な目標値を設定したり、設備の導入後に達成状況を報告することが企業にとって負担となり、申請が躊躇されるようなことがあっては元も子もなりません。

Q1 そこで、中小企業の設備投資を支援する「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」において、事業効果の把握のために導入している仕組みと昨年度における申請状況について伺う。

A1(商工部長)
○「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」では、DXを推進するために必要な設備投資等、1/2を超える高い助成率の区分に申請をする際などに、従業員一人当たりが生み出している利益などの伸び率を数値目標として設定し、計画を策定することを要件としている。
○具体的には、設備投資の実施後3年から5年までの間に、そうした利益などの伸び率が年率3%以上となるよう目標値を設けることとしている。
○令和4年度に本事業の申請を行った404社のうち、高い率による助成を希望する273社すべてがこの目標値を設定した。
このうち165社が採択を受け、助成事業完了後5年間にわたり状況の報告を求め、確実に行うことができるよう進捗に応じて適切にアドバイスを行うことで、目標達成を着実に後押しする。

申請時や事業後に生産性向上に関する報告義務などが課されている助成率の高い区分に申請している中小企業は、404社のうち273社、すなわち約2/3を占めていることがわかりました。助成完了後、都は、5年間にわたり状況の報告を受けることになります。中小企業の計画実現にむけて、丁寧にサポートすることを要望しました。

福島りえこ,世田谷区,都民ファーストの会,都議会議員

生産性向上を従業員の待遇改善に確実に結びつけるために

OECDが公表する年間平均賃金額のデータからは、日本の賃金水準が低迷し、米国の約半分、韓国にも抜かれ、OECDの中で最下位グループに入っていることが読み取れます。

産業労働局が手掛ける中小企業振興策も、中小企業の持続的成長に加え、増加した収益を従業員の賃金引上げに結びつける観点が重要です。

令和2年11月の経済・港湾委員会の質疑以降、私は、生産性の向上を従業員の待遇改善につなげる方法として、厚生労働省の「業務改善助成金」事業(※)を紹介してきました。

※ 生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成、さらには、生産性の伸び率が「生産性要件」を満たしている場合、労働関係助成金を割増すというもの。

わが会派からの求めに応じ、都は、令和4年第3回都議会定例会の補正予算において、中小企業がデジタル技術の導入により生産性の向上を図る取組を支援する「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」において、賃金の引上げに取り組む場合に、設備投資への助成金を割り増す仕組みを新たに構築した。

Q2 そこで、令和4年度の本事業における助成金支援の実績と、そのうち、賃金の引上げを行う企業への支援実績を併せて伺う。

A2(商工部長答弁)
○ 都は、「生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業」により、中小企業に対する専門家派遣と、その助言に基づくDXの取組への後押しを複数年にわたり行っており、デジタル化に向けた設備の導入に必要な経費について、最大2/3、300万円を上限に助成してきた。
○ 補正予算により昨年の10月から、従業員の待遇改善に積極的に取り組む事業者を支援するため、デジタル技術を活用した設備導入の成果を計画的に従業員の収入の増加に結び付け、企業の給与支給総額と事業所内最低賃金を一定額以上引き上げる場合には、助成率を3/4とすることとした。
○ こうした取組を含め本事業では、令和4年度に、専門家を141社に対して派遣し、43社に約8,700万円の交付決定を行っており、そのうち、従業員の賃上げに取り組む企業については、16社に約4、100万円の交付決定を行った。
○ これらにより、中小企業の生産性向上と従業員の待遇改善を後押しした。

賃上げに取り組む企業への支援を開始したのは昨年の10月からですが、従業員の収入の増加に結びつける条件を付しても、助成率の高い枠組みを選択した企業は、43社中16社、すなわち約4割に上ることが分かりました。生産性向上による収益増加を、従業員の待遇改善につなげ、さらなる成長を目指す、という好循環を生み出すことは、中小企業の経営と働く人を支援する産業労働局の事業目的に合致します。これらの都としては先駆的かつ意欲的な事業について成果を分析し、中小企業振興のためのあらゆる事業において、事業効果を高めるための制度設計に活かしていただくよう要望しました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました