「令和5年 事務事業質疑」政策企画局

福島りえこ,世田谷区,都民ファーストの会,都議会議員ブログ

11/9は、政策企画局、スタートアップ・国際金融都市戦略室に対して質疑を行いました。

未来の東京戦略

目的達成や課題解決に向けて各事業が展開されるなかで、本当に目標達成に寄与しているか、課題解決につながっているか、という観点は重要です。

私は、第三回定例会総務委員会の政策ダッシュボード(事業実施状況調査結果)に対する質疑で、施策・事業の実施により発生する効果・成果を表す、アウトカム指標の必要性についてとりあげました。

戦略6 ダイバーシティ・共生社会戦略の「インクルーシブシティ東京プロジェクト」
アウトカムである「人権が尊重されていると思う人の割合」が設定され、改善している様子がわかります。

戦略3 女性の活躍推進戦略の「女性活躍に向けた社会のマインドチェンジプロジェクト」
アウトカムである「東京は女性が活躍できる都市だと思う人の割合」が設定され、これが伸びていることがわかります。

戦略16 スポーツフィールド東京戦略
アウトカムである「パラスポーツに関心がある都民の割合」が設定されていることで、東京2020大会があった2021年に対し低下が認められ、対策が必要であることがわかります。

一方、アウトカム指標は設けず、KPIにとどまる戦略もあります。事業執行を確実に課題解決につなげるためにも、アウトカム指標が設けられていない戦略や事業について、その必要性について前向きに検討いただくよう要望しました。

 現在の検討状況について伺う。

(計画調整部長)
〇未来の東京戦略では、取組の成果を表す定量的なアウトカムのほか、都民の皆様に対し、状況の変化や取組の進捗を視覚的に分かりやすくお示しするため、事業の特性などに応じたアウトプットも用いて、目標を設定
〇現在は、本年度内に予定している政策の強化に向けて関係局と議論を重ねながら、新たな目標設定等についても検討を行っているところ

本年度内、という期限を設けて検討を行っていることを評価します。例えば以下の戦略は、アウトカム指標の設置が適すると思います。検討を求めました。

戦略1 子供の笑顔のための戦略の「こどもスマイルムーブメントプロジェクト」
課題解決具合を把握するには、本戦略の起点となった「東京都こども基本条例」を踏まえると、「自分達の意見が政策に反映されていると思う子供の割合」や、「大切にされていると感じる子供の割合」のようなアウトカム指標が有効だと考えます。

戦略2 子供の「伸びる・育つ」応援戦略の「新たな「東京型教育モデル」推進プロジェクト」
その背景にある「新学習指導要領」を踏まえると、子供の「主体性」や「能動性」、「協働性」などのアウトカム指標が有効だと考えます。
「TOKYOスマート・スクール・プロジェクト」の「取り組む先生方の働き方改革」「残業時間」
「生徒一人ひとりに応じた教育」
「生徒の満足度」などの、アウトカム指標を設けるべきです。

戦略7「住まい」と「地域」を大切にする戦略
英国政府に設置された孤独問題担当国務大臣が所管するような領域に関する取り組みだとすれば、「孤立・孤独を感じる人の割合」がアウトカム指標であり、これを減らすのが最終目標であると考えます。

戦略17「多摩・島しょ振興戦略」

本戦略については、事業の計画と実施状況の記載しかなく、アウトカム指標のみならず目標指標そのものがないことを指摘しました。

「多摩や島しょを振興する」ための戦略なのであれば、例えば、人口や関係人口、定住意向、関係人口といった指標がアウトカムとしてふさわしいように思います。

都としてあるべき多摩・島しょの姿を数字で表し、目標管理するべきと考えるが、見解をうかがう。

(計画調整部長)
〇未来の東京戦略では、可能な限り数値化、定量化を図った政策目標を設け、政策ダッシュボード等を活用したフィードバックを行いながら、効果的に事業を展開
〇多摩・島しょにかかる戦略についても、新たに生じた政策課題や強化すべき分野などを踏まえながら、政策の強化にあわせて効果的な目標設定を関係局と検討

住み続けたいかどうかを答える「地域定住意向」については、「都民生活に関する世論調査」で調査・集計されているので、そのまま使うことが可能です。多摩島しょ部の振興に向けて事業のブラッシュアップが行われるような指標の選定を求めました。

「3つのC」の推進

「『未来の東京』戦略」は、その核に、3つのC(チルドレン(子供)、チョウジュ、コミュニティ)を据え、子供が笑顔で子育てが楽しいと思える社会、誰もが心豊かに自分らしく暮らせる長寿社会、誰もが求める「居場所」につながることができる社会の実現を目指しています。

チルドレンについては子供政策連携室が発足、チョウジュについては、意欲があっても活動できていないシニアに向けて、社会参加活動をマッチングするオンラインプラットフォーム「人生100年時代社会参加マッチングプラットフォーム(仮称)」の構築が進んでおり、私も期待を込めて、質疑でとりあげてきました。

一方で、コミュニティに関しては、私の認識では、従来よりある町会・自治会や商店街に向けた支援の拡充と、2020大会を契機に立ち上がった「東京ボランティアレガシーネットワーク」、そして都営住宅居住者に向けた取り組みぐらいという印象です。実際に、私が都議会議員になってからのこの6年半の間でも、身の回りの地域コミュニティの構成メンバーはほぼ変わらず、年齢があがっています。

地域コミュニティは、子育て、防災・防犯、見守りなどを行うにあたっての重要な都市基盤であり、さらには、住み慣れた場所で自分らしく暮らすための「地域包括ケアシステム」の構築には「地域資源」が不可欠ですが、システムを構築する前に、地域資源自体が枯渇するのではないか、という危機感があります。

 これからのコミュニティに対する支援策には、若い世代の地域コミュニティへの新規加入や、コミュニティ活性化を促す取り組みが不可欠と考える。見解を伺う。

(計画調整部長)
〇「未来の東京」戦略の下、誰もが社会とのつながりを保ち、支え合える環境を創り出していくためには、地域の様々な資源を活用して多様な「居場所」を創出し、地域コミュニティへの参加や活性化を促進することが重要
〇都では「みんなの居場所創出プロジェクト」を通じて、ソフト・ハード両面から区市町村の創意工夫による「居場所」づくりを強力に支援し、地域コミュニティへの参加や活性化を促進
〇具体的には、日野市による若い世代を対象とした、アウトドアイベントができる「居場所」整備や、瑞穂町による「地元リーダー」育成の取組、渋谷区による地域コミュニティを育む場となる緑道再整備など
〇今後、こうした先駆的取組を都内全区市町村へ横展開することで、地域コミュニティへの参加や活性化を加速し、「オール東京」での重層的なプロジェクト展開に繋げていく

ご紹介いただいた事例を見たところ、町会・自治会起点ではできなかったであろう、若い世代にむけた取り組みもあり、新しいコミュニティの形成につながると感じました。一方で、町会・自治会のような都内を網羅的に覆うネットワークは、いったん失われると、再構築は大変難しいと考えます。

よって、この事業で生まれた新しい地域コミュニティを存続させるとともに、地域にしっかりと根差したものにしていくため、町会・自治会など既存のコミュニティとの連携についても、十分とれるような働きかけも要望しました。

TOKYO強靭化プロジェクト

都民の災害に対する安全・安心を確保するためには、「公助」のみならず、「自助」「共助」それぞれの取組が重要です。

とりわけ、共助の中核を担うコミュニティの役割が不可欠であることから、プロジェクトにコミュニティを位置付けることを会派として要望し、幅広い方々の参画を促すなど、具体的な方策を講じるように求めてきました。

 「TOKYO強靭化プロジェクト」において、コミュニティによる共助の促進に向け、都はどのように取り組んでいるのか伺う。

(都市強靱化プロジェクト担当部長)
〇TOKYO強靭化プロジェクトでは、地域コミュニティにおける防災の取組の活性化や、若年層を含む幅広い方々による共助を推進することとしている
〇今年は、関東大震災から100年となる節目の年であり、こうした契機も活かし、町会・自治会の防災力向上に向けた資器材の購入支援や、幅広い層を対象に共助の重要性を伝える出前講座の開催などを実施
〇今後も各局と連携して取組を進め、地域の防災力のさらなる強化につなげていく

町会・自治会の防災力向上に向けた資器材の購入を支援する「関東大震災100年 町会・自治会防災力強化助成」については、資器材を購入するだけでなく、資器材の選定に住民の参画を求めたり、購入した資器材について、掲示板などを使って住民に紹介するなど、地域住民の、防災やこれを担う町会・自治会の役割の理解につながる取り組みも付随して行うよう求めました。

主管する生活文化スポーツ局からは、本事業を3,000ほどの町会・自治会にご利用いただき、加えて、事業を利用した町会・自治会からも、購入した資器材の告知は効果的であったとのお声をいただいています。

加えて、我が会派の要望により、今年より強化されたマンション住民に向けた取り組みも、今年より名称を改めた「東京とどまるマンション」の防災備蓄資器材の購入の助成にあたっては、防災マニュアルの策定に加え、防災訓練の実施や災害時の連絡体制の整備など、ソフト面の取り組みでも申請できるように改めるとともに、これから配布される「東京防災」と「東京くらし防災」の改訂版には「マンション防災」のリーフレットを追加、ここには防災力向上のためには、町会・自治会との連携が大事であることを記載していただきました。

引き続き、地域防災力向上に関する事業の実施の際には、地域コミュニティの育成の観点を大切に取り組んで頂く必要があります。そのためにも、本領域の事業推進にあたっては、例えば、地域における「日頃挨拶する人の数」「災害が発生したら気遣う人の数」、さらには、「災害が発生したら避難を手伝う人の数」など、災害時要援護者の支援を念頭にした、ソーシャルキャピタル系のアウトカム指標の導入が有効であると考えます。検討を求めました。

東京グリーンビズ

我が会派の、自然の持つ力を街づくりに活かす「グリーンインフラ」推進の提案も受けて、都は今年8月に「東京グリーンビズ」を立ち上げました。

植物生態学者の(故)宮脇昭先生によれば、ソテツやイチョウのような裸子植物の次に、マツ、スギ、ヒノキなどの針葉樹の裸子植物が、数万年前から約1万年前の最終氷河期に大繁茂し、その後、環境の変化に強い被子植物が主流になりました。そして、関東のような常緑広葉(ジョウリョクコウヨウ)樹林域では、シイ、タブ、カシ類による常緑カシ林が、潜在自然植生であり、これ以外の森は、人間が管理してきた二次林でです。そして日本において、土地本来の森は0.06パーセントしかありません。

これを踏まえると、都市公園の中や地域の散策の場としては、人間が手入する雑木林が好ましく、一方、環境保全や災害防止機能を重視するのであれば、潜在自然植生(センザイシゼンショクセイ)に基づく土地本来の森が望ましいとなります。

これを如実に表したのは、東日本大震災です。先の分類では、潜在自然植生ではない松林は大津波でほぼ倒壊、根こそぎ倒れたマツは内陸の家屋や車に襲い掛かり二次被害を引き起こした一方で、東北地方の潜在自然植生であり自生していたマサキやトベラ、ネズミモチは生き残り、多賀城市で1993年に植えたタブノキ、スダジイ、カシ類、ヤマモモなどは自動車を受け止めたうえで、生き残ったとのことです。

加えて宮脇先生は、世界各国で小さな森づくりに活用されている「ミヤワキメソッド」を生み出しました。潜在自然植生の樹木を中心に、たくさんの種類を混合かつ高密度で植える混植をすることで、300年の森を30年でできるという方法。植物同士を人工的に競争させることで、通常より早く育つことが実証されています。

つまり、都市における緑の多くは人工林です。外苑前の再開発で銀杏並木、そして、建国記念文庫の森など、都市と共存する森は、人が美観や憩い、そして明治神宮への想いなど、設置目的に照らし合わせて適宜、維持管理するべき雑木林であり、このような都市における緑について、植樹したら一切触れてはならない、というのは、本末転倒です。そのような風潮が強くなれば、今後まちづくりにおいて木を植えるのはリスクとして扱われかねません。

 東京グリーンビズのもと、都市における緑をどのように育て、管理していくのか、都の見解をうかがう。

(計画調整部長)
〇都はこれまでも、公園の整備、緑地の保全、街路樹の適切な維持管理等により、緑の量的な底上げと質の向上を図ってきた
〇今般、気候危機や感染症との闘いを契機とした人々の価値観や都市の役割の多様化を踏まえ、東京の緑の価値を高め、未来へ継承していく新たなプロジェクト「東京グリーンビズ」を始動
〇様々な分野の専門家等で構成するアドバイザリーボードを設置しており、緑の管理に関しては、「東京は原生林ではなくほとんど二次林。質の高い管理が必要」、「適正な緑の管理のあり方をもっと発信していくべき」等の意見を頂いている
〇こうした専門家の意見等も踏まえながら、関係局とも連携し、施策の強化

専門家の方からも、「東京は原生林ではなくほとんど二次林。質の高い管理が必要」、「適正な緑の管理のあり方をもっと発信していくべき」との意見があったとのことです。

我が会派は、先にも述べたように、緑、なかでも潜在自然植生(センザイシゼンショクセイ)が優れているといわれる、雨水浸透能力や、延焼防止力などの防災力、そして見た目の美しさを街づくりに取り込む「グリーンインフラ」の推進を提案しました。

引き続き、都民の暮らしの安全と安心、加えて心の安らぎにつながる、都市における緑の積極的な導入と管理について検討を進めるよう要望しました。

大学の定員抑制

本件については他会派と予定していた質疑が重なったので、意見のみ述べました。

国が進める東京23区の大学定員抑制について、我が会派は兼ねてより反対の立場です。若者が学びたい場所、学びたい学校で学ぶことを選択肢として持てるべきであることには、誰一人疑いを挟まないのではないでしょうか。都は、H14以降の東京の学生の増加は、東京近郊の学生の流入であり、地方から東京へ進学者が増加している事実はないことを説明しています。

ChatGPTはじめ、数年前には多くが知らないという技術やサービスが次々と現れています。何を学ぶかは、これからを生きる若者の自由に任せるべきであり、現在国で検討している分野を限った制限の撤廃も適切ではないこと、引き続き関係者と意見交換を行い、科学的証拠に基づき、国の方針撤回に向けてて働きかけるよう、要望しました。

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