「令和4年度各会計決算特別委員会」第3分科会⑨~建設局(3)自転車や公園など街づくり

都議会議員,福島りえこ,世田谷区ブログ

自転車通行空間の整備について

私は、都民ファーストの政治の実現に向けた一つの取り組みとして、都議会議員になって以降、半年に一度のペースで社会課題をテーマに都政報告会を開催、専門家と都民を交えて議論をする場を設けてきました。

そして、本年9月には12回目となる都政報告会を「地域公共交通」をテーマに開催しました。地域活動の場で、バスの本数が減った、路線そのものがなくなった、代わりにタクシーに乗ろうとしても捕まえられない、といった区民の皆様からの声を多くいただくようになったからです。

ここでの学びは、ヨーロッパの都市では、車の削減の数値目標を立てて、公共交通や徒歩自転車の交通分担率の目標を定め、運行本数、運賃などのサービスレベルを規定し、公共交通や、徒歩や自転車の道路環境整備の財源を手当てする、という順番で議論を進めている、ということです。

地域公共交通を補完し、都民生活の様々な場面で身近に使うことができる自転車ですが、昨年の都内で発生した交通事故のうち、自転車関連事故が占める割合は4割を超えています。

自転車の活用を進めるにあたっては、誰もが安全で快適に自転車を利用できる環境の実現に向けて、自転車通行空間を整備していくことが必要です。

Q そこで都は、自転車通行空間の整備にどのように取り組んでいくのか、令和4年度末までの取組状況も含め伺う。

A 
〇都は、令和3年5月に「東京都自転車通行空間整備推進計画」を策定し、計画的かつ効果的に自転車通行空間を整備するため、ネットワークの連続性や、自転車交通量や事故の発生状況など、3つの視点に基づき優先整備区間を選定し、整備。
○優先整備区間については、令和4年度は、新青梅街道や多摩大橋通りなどにおいて約32キロメートルを整備し、累計約50キロメートルが完成。
○今後とも、関係機関と連携しながら、計画期間である2030年度までに、優先整備区間に選定した約250キロメートルを積極的に整備。

 目標に向けて順調に推移していることを確認しました。答弁にあった「優先整備区間選定」の3つの視点は以下のように、基本的には自転車通行空間に限った視点になっています。

今後の検討においては、他の「地域公共交通」も含めた交通ネットワークの一つとして、車の削減の数値目標からのブレークダウンの観点も取り入れていただくよう、要望しました。

道路通報システム My City Report(MCR)について

都は、道路の損傷や不具合をスマートフォンアプリで簡単に投稿できる道路通報システムを令和4年度より本格導入しています。

MCRは、現在、千葉県知事を務める熊谷俊人知事が、千葉市長だった平成25年に、オープンデータと市民協働の推進を目的に、マイクロソフトからの提案で「ちばレポ」と称した実証実験を始めたことがはじまり。私は、前職で研究開発業務に従事、国連におけるSDGs(持続可能な開発目標)の設定もあり、社会課題解決に向けた技術の調査を進めるなかで、この取り組みには当時から着目していました。

都では、知事が平成30年度に創設した、都内の大学研究者から事業の提案を受ける事業提案制度を通じて導入されています。

それ以降、都民ファーストを掲げる我が会派は、デジタルを活用することで、都民が道路管理に参画できる良い取組であるとして、継続的に議会で取り上げてきました。昨年の事務事業質疑でも、公園など様々な公共施設の管理に今後使っていくべきと質問し、今年6月から23の都立公園と隅田川へ運用拡大したところです。

Q そこで道路通報システム(MCR)の令和4年度の投稿件数などの状況と導入効果について伺う。

A
○令和4年度は、区市町村道等に関するものも含め一年間で約1,500件を超える投稿件数。令和3年度末までの試行期間では2年2か月の間に累計で約500件であったが、その3倍に増加。
○投稿件数の7割以上が休日、夜間の投稿など、通報機会拡大につながっている。
○利用者からも、「操作が簡単で使いやすい」「投稿後の対応状況が確認できる」など、良いシステムであるとの意見を頂いており、迅速できめ細かな道路管理に効果を発揮。

MCRのような都民と東京都が協働できるシステムは、より多くの都民に利用されることが望ましく、そのためにはまず知っていただく必要がある。

Q そこで、令和4年度の広報活動状況について伺う。

A
〇本格導入にあたりポスター、リーフレットの掲示に加え、広報東京都への掲載、SNSや東京動画等、様々なメディアを活用し広報活動を実施。
〇令和4年度末にはアプリ利用者が約4,000人まで増加。
〇引き続き、効果的な広報活動を展開。

先に述べた「ちばレポ」も、登録のべ人数は令和4年度末で8,430人。そして以外なことに、平均年齢は46.3才と、現役世代です。理由を確認したところ、小中学校に通う児童生徒の保護者に加入を依頼しているとのことでした。

「ちばレポ」をみても、加入者を増やすことは容易ではありません。MCRの投稿にはスマホを用いることから、SNSやユーチューブによる広報は効果があると期待するとともに、引き続き、利用者目線での取り組みを求めました。

一方で、「ちばレポ」には当初より、課題の通報だけでなく、市民が課題解決に取り組むための仕組みも搭載されています。行政にお願いして終わりではなく、我が町を自らの手で盛り上げていく取組こそ都民参画であり、都民協働です。私はこの側面が大切だと考えています。

私の地元にある駒沢オリンピック公園では、近隣住民が花壇を広げ、その手入れを自主的に行っています。小田急線の東北沢駅から世田谷代田駅の区間が地下化され、生まれた線路跡地に整備された遊歩道は、グリーンインフラの機能をもたせるととともに、住民参加による植栽の維持管理が行われています。このように、都内には、既に、都民が参加し街の魅力を高める活動が繰り広げられています。

MCRにも、都民が道路の損傷や不具合を投稿し、都で確認・対応する「こまったレポート」に加え、都民が道路上の「落ち葉」や「ごみ」を清掃したことを投稿できる「かいけつレポート」という仕組みがあるそうです。先の住民による主体的な取り組みを、MCRの「かいけつレポート」に掲載していただくことで、行政が全てを行うのではなく、地域住民等と連携した街づくりの機運醸成につながるのではないでしょうか。

広報活動においては、「かいけつレポート」についても紹介するとともに、実際に取り組んでいる団体に直接お会いして利用を広げていただく取り組みを求めました。

駒沢オリンピック公園のストリートポーツ広場について

東京2020大会での選手の活躍もあり、公園口近くのストリートスポーツ広場、以下SS広場は、小さい子供から大人まで、幅広い世代の利用者でいつもにぎわっており、都民のQOL向上につながる取り組みであると評価しています。

一方で、このSS広場で3年経過した現在も歩行困難な大きな怪我をした区民の方からのご相談も受けています。緒に現地を視察したところ、SS広場には、利用にあたっての基本的なルールが掲示されていました。しかしながら、私が訪れたその日も、スポーツ広場の出口から、ベンチと屋根がある場所まで子供たちはスケードボードに乗って移動しており、BMXは広場の外の南側で練習をしていました。

先ほどのルールを掲示した板には、小さく、「広場内での事故やケガについては自己責任」との記載があります。都は、基本的に利用者の責任の中で運営が任されているとのことですが、

 令和4年度に駒沢オリンピック公園ストリートスポーツ広場において発生した事故件数を伺う。


〇都立公園では、公園利用者から管理所に事故発生の通報があった場合や、巡回の職員がけがの発生などの事故等を確認した場合、警察や消防の出動を把握した場合に、指定管理者が都に事故報告を提出することになっている。
〇駒沢オリンピック公園のストリートスポーツ広場の利用について、令和4年度に事故報告を受けた件数は4件である。

先のご相談者様の事故は、都側は把握していません。そして、ご相談者様はSS広場で遊ぶ子供に付き添った保護者の立場なのですが、子供が通う学校に通う生徒のなかでも、かなりの子供が骨折を経験しており、怪我をした子どもの保護者の認識も、「怪我は付きものだから」というものであるそうです。年4回という数字とは整合しません。

Q ストリートスポーツ広場の利用者における安全な利用に向けたルールやマナー向上についてどのような取組を行ったのか伺う。


〇事故防止に向けた取組として、利用者が施設を安全に利用できるよう、ヘルメットなど保護具の着用の推奨や小学生以下の利用における保護者の付添いなどの利用ルールを設定し、入口付近に周知用の看板を設置するなど普及啓発を図っている。
〇また、指定管理者が、愛好家団体が作成したスケートボード等のマナーについての分かりやすいリーフレットの配布を行ったほか、プロスケーターを講師に招いたマナーアップ教室の開催などを通じて、広場を安全に利用するための環境づくりを行った。

ご相談者様によれば、「都の利用に関する看板よりもスケボー界隈のオリジナルルールを優先する親が多い」という雰囲気だということです。ご自身は掲示してあったルールに従い我が子の練習に付き添っていましたが、一緒に遊びにきた複数人の友達の親はSS広場内に子供を残したまま外でおしゃべりをしており、親の付き添いがない子供にせがまれ相手をするなかで、ぶつかられ、大けがに至りました。親御さんの大けがを気に病み、ご相談者様のお子さんはスケードボードをその日以来、一切やらなくなったとのことです。ご相談者様頂いた、以下の要望を伝えました。

・子どもの利用におけるヘルメットやサポーターを装着の徹底
・子どもへのスケボー教室の開催に加え、保護者に対する、リスクやサポートの仕方などルールの教育

現状の運用下で、大きな、そして不幸な事故がおきたことを踏まえ、

Q 安全な利用には利用者自身によるルールの順守やマナーアップの取組だけでなく、公園管理者による主体的な安全対策も必要だと考えるが、公園管理者として実施した取組みについて伺う。

A
〇ストリートスポーツ広場では、職員及び警備員の巡回時に、積極的な声掛けにより、ルールを守らない危険な行為に対して注意等を行っている。
〇また、利用者が多く見込まれる土日祝日については、昼の12時から閉場時間までのあいだ、専任の警備員を配置し、安全対策の強化を図っている。
〇こうした取組により、ストリートスポーツ広場の安全管理に努めている。

平時の巡回時の声掛けと、土日祝日の午後の警備員の配置で、なぜ安全管理が可能であると判断したのでしょうか。

都民がSS広場を求めているのは事実であり、今後、都内に展開するとすれば、駒沢オリンピック公園のSS広場は第一号であり、モデル事業のようなものです。安心安全な利用のためにどのような運営が必要なのかを明らかにするためにも、少なくとも1年は常時観察、もしくはそれに相当する取り組みをしていただき、駒沢オリンピック公園をはじめに、今後展開するSS公園において、利用者が不幸になるようなことがないよう、適切な安全管理を行っていただくことを要望しました。

インクルーシブな公園について

障害の有無にかかわらず、誰もが安心して暮らせるインクルーシブな社会の実現に向けて、わが会派は、あらゆる人が遊び、立場や違いを理解し、認め合う経験ができる、インクルーシブ公園を提案、世田谷区の砧公園が第1号となり、いまや全国に波及しています。

Q 令和4年度末までの実施状況について伺う。


〇都立公園では、公園の新規整備や遊具広場の改修の機会をとらえ、障害の有無にかかわらずこどもが気軽に楽しめる、ユニバーサルデザインの遊具を備えた広場の整備を進めており、令和3年度までに砧公園など3公園で整備が完了している。
〇令和4年度は、練馬城址公園において、新たに遊具広場の整備を行うとともに、汐入公園や木場公園などの遊具広場について改修の設計をおこなった。
〇設計に当たっては、周辺の小学校等へアンケート調査を実施し、こども達の意見を活かしている。

「こども達の意見を活かす」については、これまであった遊具のなかで何が好きだったかを聞いたうえで、そのインクルーシブタイプの遊具を導入するようにしている、とのことです。チルドレンファーストに取り組む都らしい、良い取り組みだと思います。

わが会派は、ハードの整備はもちろんだが、公園を作り上げる過程や、作ってからのコミュニティなど、地域住民が関わるための、ソフト対策についても求めてきました。

Q 令和4年度の取組実績について伺う。


〇令和4年度は、砧公園のみんなの広場において、インクルーシブな活動を行う団体と連携し、ユニバーサルデザインの遊具を初めて利用する人向けの見学会を開催したほか、障害の有無に関わらず全てのこどもが参加できるアートワークショップなどを実施した
〇府中の森公園では、もり公園にじいろ広場において、遊具についての理解を深めるこども向けのクイズや、こども達が協働して描いたにじいろの花の横断幕を広場に設置し、フォトスポットとして楽しんでいただくイベントなどを実施した。

都は、令和3~7年度の5年間、基礎自治体ごとに1か所、理想的なインクルーシブを創れるよう、1/2、3000万円を上限に支援しています。一方で、まとまったエリアの確保が難しい場合、同じ予算で複数の公園の遊具をインクルーシブ遊具に置き換えたいという声も届いています。5年間の取り組みを通じて、インクルーシブな社会の実現につながる公園の在り方をハード、ソフトの両面から検証し、それ以後の取り組みに活かしていただくことを要望しました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました