令和6年(2024年)は年明けから能登半島地震の発生、そして羽田空港における航空機衝突事故など、甚大な災害・事故が続きました。
コロナ禍で加速した少子化については、日本の人口が、2100年には現在の半分の約6,000万人になるという予測も示されています。経済では、先週日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新した一方で、物価高騰に賃金上昇が追い付かず実質賃金のマイナスが続いており、豊かさに対する生活実感は乏しいです。加えて、日本のGDPはドイツに抜かれ世界4位に低下し、人口動態の劇的な変化への対応や新しい経済成長に向け、抜本的な構造改革が必要不可欠です。さらに、「地球沸騰化」の時代に突入した気候危機、様々な不祥事が明らかになった日本企業・社会の人権意識の低さ、出口の見えないウクライナ戦争やグローバルサウスの台頭に伴う新たな国際秩序への対応も迫られています。
このように、国内外で危機的な状況が続いていますが、一方で、野球や将棋における若い才能の開花や、宇宙開発において小型無人探査機が日本初の月面着陸に成功し高い技術力を示すなど、新しい時代を切り拓く挑戦も進んでいます。
今、都政に求められているのは、東京・日本の抱える構造的な課題の解決に果敢に取り組みながら、新しい時代を切り拓く一人ひとりの「人」の挑戦を後押ししていくことです。
予算の基本方針
小池知事、そして私たちが都議会から「車の両輪」として進めてきた「東京大改革」では、既存事業の見直し等を通じて年間1,000億円以上の新規財源を確保した上で、待機児童数の約97%もの劇的な減少、全ての子どもを対象にした月5000円の給付である「018サポート」に加え、首都直下地震等による東京の被害想定の着実な減少につながる防災対策の強化など、過去の都政からの大きな構造改革が進められてきました。
都の令和6年度予算は、東京の抱える課題の解決と、日本全体をリードしてきた「東京大改革」をさらに推し進めるものでなければなりません。
Q 東京・日本が直面している危機を突破し、未来を切り拓く施策を強力に進める必要がありますが、令和6年度予算案の編成にあたっての知事の見解を伺います。(知事・財務局)
A(知事)
〇深刻さを増す少子化や低迷する国際競争力、時を選ばない災害への備えなど、我が国の抱える課題は、一刻の猶予も許されない。
〇直面する様々な困難の突破口を切り拓き、日本の成長を牽引していくことこそが、首都東京に課せられた使命である。
〇こうした思いを胸に、令和6年度予算では、東京が今為すべきことを躊躇なく前に進めるため、「『人』 が輝く」、「国際競争力の強化」、「安全・安心」の3点を軸に、都市力を磨き抜く大胆な施策を数多く盛り込んだ。
〇加えて、ワイズスペンディングの観点から無駄をなくす取組を徹底し、過去最高となる1,266億円の財源確保に繋げるなど、強固な財政基盤の堅持にも取り組んでいる。
なお、この8年間で生み出した新たな財源は、合わせて約8, 100億円となる。
〇都民ファーストの視点に立ち、東京大改革に邁進することで、明るい「未来の東京」を創りあげて参ります。
防災
能登半島地震への対応
年始に発生した能登半島地震の被害は大きく、避難生活の長期化が続く方も多く、被災地は厳しい状況にあります。都は、発災直後から警察・消防・水道・下水道などの職員を派遣し、対口支援となった輪島市には、市役所庁舎に総務局職員が常駐し連絡調整を担うなど、被災地支援を進めてきました。
Q 能登半島地震で被災された方々や自治体への支援を強化するとともに、そこで得られた知見に基づき、首都・東京の防災施策をさらに強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
A(知事)
〇今年元日に発生した能登地方を震源とする地震は、建物の倒壊や、通信・ライフラインの途絶など、甚大な被害をもたらした。
○都は、発災後直ちに情報収集を開始するとともに、被災地に職員を派遣し、避難所の
運営や上下水道の復旧など、支援を続けている。
〇水道などライフラインの重要性や、迅速かつ的確な支援の必要性を改めて認識しており
今後も、時間とともに変化する被災地のニーズにきめ細かく対応。
〇都においても、トイレの追加備蓄や、都と62区市町村へのモバイル衛星通信の配備など、必要な施策に速やかに取り組んでいく。
〇先日いただいたご要望も踏まえ、今後検証等を行い、施策の更なる強化を図り、世界一安全・安心で強靭な東京をつくり上げていく。
答弁にあるように、能登で問題になったトイレの追加備蓄、そして、支援で役に立ったモバイル衛星通信システム(電源さえあればスマートフォンなら数十台の同時接続が可能)の基礎自治体への配備を速やかに予算化されました。
「東京とどまるマンション普及促進事業」の強化
都は、関東大震災から100年の節目となる令和5年に「TOKYO強靭化プロジェクト」を進めてきましたが、私たちはコミュニティの視点の強化や、都民の7割の世帯が居住する「マンション防災」の推進などを強く訴えてきました。
これを受けて都が、防災ブックとあわせたマンション防災リーフレットの全戸配布、「東京とどまるマンション」の普及促進、「関東大震災100年 町会・自治会防災力強化助成」など、次々に新たな事業を実施してきたことを高く評価します。
Q 今後、より多くの都民の皆様に参加していただき防災力を高めるため、町会・自治会と連携して防災訓練などを行った場合に「東京とどまるマンション普及促進事業」の補助率を高めるべきと考えますが、見解を伺います。
A(住宅政策本部長)
〇地域の防災力向上には、マンション自体の防災力を高めた上で、地域との共助の取組を促すことが重要。
〇都は今年度、防災活動に積極的に取り組むマンションを増やすため東京とどまるマンションンションの防災備蓄資器材の補助を開始し、制度を周知。
〇来年度は、更にマンションと周辺地域のつながりを強化するため、町会等と合同で防災訓練を行うマンションへの防災備蓄資器材の補助率を10分の10に引き上げるとともに、関係局とも連携し、更なる普及を後押しして参ります。
マンションの防災資機材の補助率を高める条件に、町会等との合同訓練を提案、実現しました。容易ではありませんが、事業の実施を通じて確実に地域の防災力向上につながると考えます。
マンション防災の地域連携(2)
また、能登半島地震の避難生活においても、顔見知りだから避難所生活が堪えられた、落ち着いて過ごせているとの声が届いています。
Q 町会・自治会に対しても、それぞれの地域の実情に合わせ、マンション住民との合同訓練を促す取り組みを進めるべきと考えますが、見解を伺います。
A(生活文化スポーツ局長)
○地域における防災力を高めていくために、町会・自治会からマンションに働きかけていくことは重要。
○来年度、町会とマンションの合同防災訓練をきっかけに、つながりの構築や強化を進める事業を開始する。
○町会とマンションをつなぐマッチングの支援のほか、地域の事情に即して調整を行う コーディネーターを派遣し、関係機関とも連携しながら進める。
○合わせて、町会向けの助成事業においても防災活動の助成率を10/10に引き上げる。
○こうした取組を積み重ねながら好事例を広め多様な連携が広がるよう後 押しを行う 。
町会からの働きかけについても同様に助成率10/10を実現することができました。
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