「令和5年都議会第1回定例会」予算特別委員会~総括代表質疑「情報教育とDX」

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私たちは、Society5.0時代を生きる子ども達が、デジタルを使って価値創造できる側の人、デジタル人材として活躍できるように、情報教育の充実を継続して求めてきました。

 私たちの要望を受け、都は、プログラミング教育が必修化した小中学校に、一校あたり1名のICTサポーターを配置する予算を確保しています。また、今年度より高校で必修化した「情報I」では、情報の教員向けの研修に加え、外部専門人材の活用もはじめています
 加えて、昨年の予算特別委員会では、知事より、都立大において、文理問わず副専攻として選択可能な「AI・ロボティクスコース」の設置と、入試において、デジタルを用いて価値を作る側になるための教科である「情報II」相当のスキルを評価する旨、答弁をいただきました
 そこから一年が経過し、さらに強化するべき点についていくつか取り上げました。

ICTリーダー

 学校のデジタル化が進むなかで、学校内のデジタル環境の維持管理やデジタルを活用した授業を牽引する、ICTリーダーを務める教師に大きな負荷がかかっています。

Q生徒の一人一台端末が導入され、学校生活における端末使用を日常化していくためには、校内のデジタル化を牽引するICTリーダーがその力を発揮できるようにしていくべきですが、見解を伺います。(教育庁)

A (教育長)
 都立学校では、一人一台端末等の学習環境が整備されたことから、今後は、端末を日常的に活用する授業への転換が求められている。このため、全での教員がデジタルに関するスキルを高められるよう、 ICTリーダーが中心となって、授業におけるデ ジタルの活用方法等の情報共有や教員に対する校内研修などを行っている。
 今後、デジタル化の進展に伴い、ICTリーダーの役割と業務が一層大きくなることが見込まれることから、都教育委員会は、令和五年度からICTリーダーを担う教員の授業時数を、時間講師の配置により、週当たり四時間までの範囲で軽減できるようにする

 小中学校のデジタル活用については、私たちの要望を受けて、現在都が進めている時数軽減のメニューの一つである「特色ある教育活動」を活用することで、担当教員の時数軽減が可能と聞いています。年々実施規模が拡充されているところですが、小中学校のデジタル活用が一層進むよう、こちらの事業についても引き続き推進するよう求めました。

情報教育の推進

 今春、17大学が「データサイエンス」系学部を新設するとの報道が先日ありました。社会、そして産業界が、情報スキルで価値創造をできる人材を必要としています。
 先に述べたように、都立大学入試において「情報Ⅱ」相当のスキルを評価することを答弁で表明いただいていますが、高校で情報Ⅱを教育するための環境整備が必要です。

Qそこで、令和4年度に「情報I」で実施したように、令和5年度から開設される「情報Ⅱ」においても、外部講師を活用するとともに、教員に対する研修を行うなどの質を高める取り組みを行うべきですが、見解を伺います。(教育庁)

A(教育長)
 令和4年度から必修となった「情報I」の指導を充実するため、都教育委員会はこれまで、IT 企業の専門家が学校を訪問して実践的な授業を行うなどの取組を行ってきた。
 令和5年度には 「情報II」を確実に指導するため、 ビッグデータの活用や人工知能の仕組みを扱う教員向け研修会を開催。この研修会では、大学教授などの専門家を招いた講義や、指導力の高い教員による模擬授業を行い、より実践的な指導方法を紹介することにより、質の高い授業を実施できるよう支援。

 都は、来年度予算において、希望する都立高校生を対象にアプリ開発ソフトを提供し、ワークショップを通じてスキルを高めたうえで、コンテストを行う予算を計上しました。身に着けた情報スキルを用い、課題解決に取り組み、友人や先生に使ってもらう経験の場を設けることを高く評価します。
 私たちはこれまでオープンデータ化を進めてきましたが、この活動においても、自分が暮らす社会の状況を捉えた様々なデータを利用することが、よりリアルで豊かな体験に結びつくと考えます。

Qそこで、アプリ開発のワークショップにおいても、データ利活用についても学習できるようにするべきと考えますが、見解を伺います。(教育庁)

A(教育長)
 都教育委員会は、和5年度、都立高校生 5千人にモバイルアプリの開発ソフトを提供するとともに、スキルを習得するためワークショップを行う。 また、社会的課題をデジタ ルで解決するアイデアを競うハッカソンや、プログラミングコンテストを開催
 こうした取組にあたっては、様々なオープンデータ等の活用方法についても紹介し、生徒が身近な問題に関心をもち、デジタルの力で解決することを学習することを通じ、デジタル人材の育成を図っていく。

コンピュータークラブハウス

 文科省の調査によれば、小中学校の先生の約2割が、デジタルデバイスを使った授業に不安を覚えているということです。
 学校教育でプログラミングに興味を持った子供たちが、もっとやってみたい、と思った時に、無償で最新のテクノロジーに触れ、専門人材に相談できる場所として、いわゆる「コンピュータークラブハウス」などがあります。私たちは、このような場所を地域に設けることを求め、先の代表質問で、来年度新たに「子供向けデジタル体験向上プロジェクト」を立ち上げるとの知事の答弁を得ています。

Q子供向けデジタル体験向上プロジェクトを来年度実施するにあたり、既存の子どもの居場所に併設するなど、より多くの子どもが参加しやすくなるよう取り組むべきと考えますが、来年度の取り組みについて伺います。(デジ局)

A(デジタルサービス局長)
 来年度立ち上げる 「子供のデジタル体験向上プロジェクト」は初歩のプログラミングや創作 活動など子供たちが気軽にデジタルに触れ、楽しむことのできる機会の創出を目指している。
 子供が参加しやすい場づくりに向けては、学校、児童館など、子供が通い慣れでいる場所の 活用や、企業・大学と連携し、デジタルスキルを持つ大人と楽しく 交わりながら学べるなどの工夫が重要
 現在、国内外の先進事例調査や、自治体・NPO等との意見交換を進めており、意欲ある区市町村等の協力も得ながら、子供たちが親しみをもって参加できる場となるよう取組。

小学校でプログラミングに出会い、興味を持った子は身近な場所で仲間とより学ぶことができ、都立高校や都立産業技術高等専門学校に進学すると質の高い情報教育を受け、都立大ではそのスキルが評価される。都内でそのような環境が整いつつあることを嬉しく思います!

デジタル人材の確保(高専卒人材の採用)について

 先の代表質問において、宮坂副知事より、新たに立ち上げるGovTech東京について答弁がありました。この組織を機能させ、高品質なサービスを生み出していくためには、優秀なデジタル人材をいかに確保するかが重要です。

Q GovTech東京では、経験豊富な人材に加え、デジタル技術を身に付けた若手など、多様な人材を確保していくべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。(宮坂副知事・デジ局)

A(宮坂副知事)
 GovTech 東京では、本年9月の事業立ち上げ時には、都庁各局や区市町村のデジタルサービスの開発プロジェクトに参画し、ITベンダー等開発事業者との調整などの技術的サポートを 中心に事業を進めていく。
 そのため、当初確保する人材としては、プロジェクト管理やシステムの全体設計などに精通し、きめ細かなアドバイスや調整を円滑に行える経験豊富な高度専門人材を想定。
 また、事業展開に応じて、例えば、団体自らサービス開発を行う際には、ソフトウェアやネットワーク等の高い開発スキルを有する意欲ある若手層など、多様なデジタル人材の登用を図っていく

 先に述べた都立産業技術高等専門学校もそうですが、中学卒業後から情報を専門的に、かつ集中的に学べる環境として、高専があります。都立産業技術高等専門学校では、システム開発のスキルを身に付けた卒業生が、就職後すぐに大企業の情報教育を担うようなケースもあると聞きます。
 高専の卒業生は最も若くて20才です。「GovTech東京」がこのような人材の受け皿にもなることを求めました。

都内システムの共通化とTDPF

 都は、都内のデータを集約するデータプラットフォーム:TDPFの構築を来年度予算に盛り込んでいます。データの標準化と同様に私たちが大切に考えているのが、システムの共通化です。
 基礎自治体の行政手続きは共通する部分が多く、各自治体が個別にシステムを開発するのは非効率です。システムを共通化すれば、データも標準化されやすく、こうした取組みをGovTech東京がしっかりサポートしていくべきです。

Q都内の行政関連のシステム構築にあたり、CIO意見交換会等を通じて区市町村の取り組みを把握するとともに、GovTech東京が協働して取り組み、優れたものについてはその仕様を展開する、またはOSS化をサポートするなどにより、システムを都内で共通にしていくべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。(宮坂副知事・デジ局)

A(宮坂副知事)
 区市町村からは、Gov Tech 東京に対して、多くの区市町村に共通するニーズについて、共同でデジタルサービスを開発することによりコストや開 発期間の縮減を期待する声がある。
 そのため、GovTech 東京では、専門人材からなるプロジェクトチームが、区市町村の課題や 要望を踏まえ、例えば公共施設の予約管理や乳幼児健診の申し込みアプリを開発するなど、 オープンソースも活用しながら、自治体と協働した取組を推進。こうして開発したサービスについて、他の自治体に積極的に紹介し、横展開を進めることで、 都内全体のサービスレベルの向上と効率化を図っていく。

デジタルマネー

 キャッシュレス化もまた、大変興味深い動向です。行政機関においては、行政手続きの効率化や、資産管理のスピード化をもたらします。加えて、将来的には、補助金や給付金等をデジタルマネーにすることで、条件に合わせた支給を容易にしたり、事後の収支報告関連の書類作成を自動化、さらには、「せたがやpay」の事例のように、お金の流れに関わる情報を把握、政策の効果検証ができる可能性も指摘されています。

Q大きな可能性を秘めたデジタル通貨に係る最新の技術動向を捉えていくため、社会実装に向けた実証実験に積極的に参加するなどして、知見を得ていくべきと考えますが、都の見解を伺います。(政策企画局)

A(国際金融都市戦略担当局長)
 デジタル通貨には、決済コストの低減などの効果が期待され、技術開発が進む。フィンテック企業振興に取り組む都としても、最新の技術動向を把握することが重要。
 都は今年度から、金融機関など約百社が参画する 「デジタル通貨フォーラム」 に加入、ブロックチェーンを活用したデジタル通貨の実用化に向けた実証実験に参加。
得られた知見については、金融のデジタライゼーションに向けた施策検討に活用、関係局にも共有。

 

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