「令和5年 事務事業質疑」総務局②防災関連

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新たに「災害ケースマネジメント」について取り上げました。
避難所におけるストーマの配置も、一歩ずつですが地道に進めています。
帰宅困難者対策については、帰宅困難者の情報をお住まいのある自治体に伝えることで、基礎自治体の被災者対応の精度を高めるという新しい取組みが生まれそうです!
継続して取り組んできた「マンション防災」については、現在「東京防災」と共に配布しているリーフレットの記載について確認するとともに、啓発を越えてど地道な取り組みを進めています。

災害ケースマネジメントの普及・啓発

内閣府では、被災者一人ひとりの被災状況や生活状況の課題等を、個別の相談等により把握した上、必要に応じ専門的な能力をもつ関係者と連携しながら、これらの課題等の解消に向けて継続的に支援することにより、被災者の自立・生活再建が進むようマネジメントする取組みである「災害ケースマネジメント」を進めています。

従来型の自立・生活再建は、支援メニューを用意し、被災者からの申請に基づき支援を提供するというものでしたが、これを、官民連携で被災者の自立・生活再建が進むようマネジメントすることで、災害関連死や支援漏れの防止、被災者の自立・生活再建の早期実現や地域社会の活力維持への貢献等の効果が期待されています。

内閣府は今年6月に、地方公共団体の担当者向けに「災害ケースマネジメント」の実施に関する全国講習会を開催、これまでに、岡山県、福岡県、兵庫県、奈良県、静岡県が、取り組みの主体となる区市町村や関係民間団体向け説明会を開催しており、岩手県・宮城県・福島県、愛知県・岐阜県も今年中の開催を表明しています。

Q 都においても「災害ケースマネジメント」の取組推進に向け、区市町村や関係機関、民間団体などに対する普及・啓発を行うべきと考えますが、状況について伺います。

(防災対策担当部長)
○発災後に、被災者一人ひとりに寄り添ったきめ細かな支援を行うためには、その主体となる区市町村が、平時から様々な関係団体等と連携し、適切に対応できる体制を構築することが重要であり、「災害ケースマネジメント」はそうした取組を推進するための手段のひとつであると認識
○都としては、区市町村への災害ケースマネジメントに関する普及啓発などについて、検討

東京都の首都直下型地震の発生リスク、そして、人口の多さ、そして、各種中枢機能が集中していることを踏まえ、早期の取組みを求めました。

避難所におけるストーマ用装具への対応

本年6月の第2回定例会で、本年5月に修正された「東京都地域防災計画震災編」において、生活必需品等の確保の1つに、ストーマ装具を記載いただいていたことを踏まえ、住居が被災し、被災者がストーマ用装具を持ち出せなくなった場合に備えて、自己所有のストーマ用装具を預かってもらったり、保管場所を提供する取組を都から区市町村に促すことについて、見解を伺いました。

それに対して「自治体の好事例を横展開していくなど、ストーマ用装具への対応も含めた避難生活の環境改善に努めていく」との答弁をいただいています。

Q これまでの取り組みと今後の予定について伺う。

(避難所・物資担当部長)
○避難所の運営にあたっては、避難者の視点に立ち、避難者個々の事情に応じたきめ細かな対応を行うことが重要
○これまで都は、「避難所管理運営指針」を作成し、避難所運営の主体である区市町村に対して、人工肛門・人工膀胱保有者のための装具交換スペースの検討を促し
今後、ストーマ用装具の備蓄等を行っている自治体の好事例を横展開していくなど、避難生活の環境改善に努める

都はHPで避難所マップを公開、APIで民間地図アプリにも提供しています。ここに「バリアフリー情報」が掲載されており、「その他」の欄では、オストメイト設備が整備されている場合に記載してもよい、としています。
この取り組みを通じて、都はオストメイト設備の地域ごとの普及状況を把握しているはずです。現状を踏まえた必要な取り組みを行うことを要望しました。

また、現在は、オストメイト設備が整備されているかどうかは、マップ上で避難所をひとつずつクリックしないとわかりません。「東京都オープンデータカタログサイト」等で、避難所マップの元データを公開すれば、地域ごとの普及状況について、誰もが把握できます。取り組みの推進には情報公開も有効です。検討を求めました。

帰宅困難者対策について

都は昼夜間人口比率が国内でも最も高くなっています。つまり、首都直下地震が平日の昼間に発生した場合、地域によっては、多くの方が働きに出ていたり、買い物に出かけたりしていて、在宅していないことが考えられます。加えて、都は都民の安全を守るため、むやみに移動を開始せず、最大3日、安全な場所で待機する「一斉帰宅抑制」を推進しています。

一方で、区市町村では、発災後にどの程度の住民が自治体内にいるのかを把握できれば、物資の配分や避難所の準備などにおいて、精度が高められると考えます。

都は「一斉帰宅抑制」の実効性を高めるため、一時滞在施設の確保に努めるとともに、「帰宅困難者対策オペレーションシステム」を開発、都内の混雑状況を可視化したり、「一時滞在施設」への到着管理や、施設の混雑情報を共有することを目指しています。

この「帰宅困難者対策オペレーションシステム」の到着管理などを活用し、各自治体にいない住民の数を伝えるなどはできないのでしょうか。そこで、

 デジタル技術などを活用して、災害時において、都や区市町村が地域内の残留人口と流出人口を把握することが可能か、都に伺う。

 (防災対策担当部長)
○現在開発中の「帰宅困難者対策オペレーションシステム」では、都内の混雑状況を把握するために携帯電話のGPS位置情報を活用
本システムで把握した混雑状況については、帰宅困難者と住民等を区分するため、個人を特定しないことを前提に、携帯電話のGPS位置情報によって、帰宅困難者の具体的な動きなどを推定できるか研究している
○今後、研究結果も踏まえ、災害対策における活用方法について検討

平時に、どことどこを往復しているか、の情報から、住民なのか、それとも、仕事等のために移動してきた人なのかを切り分ける、という研究であると聞いています。これに成功すれば、住まいのある自治体も推定でき、住まいのある自治体への不在住民の規模感に関する情報提供が可能になります。

災害時の基礎自治体のオペレーションの精度向上にむけ、画期的なことになると思いますので、実現を求めました。

マンション防災について

区民からの指摘を受け、平成30年の総務委員会において、マンションの世帯数に比べ「東京防災」におけるマンションの災害対策についての取扱いが非常に少ないと指摘させていただきました。

関東大震災から100年を迎える今年度の予算要望にいて、我が会派からの防災に関する重点要望として、マンション居住者に向けた取り組みの強化をあげさせていただきました。本年5月に修正された地域防災計画震災編では、新たに「マンション防災」が位置付けられるなど、都の取組が着実に進んでいることを評価します。そこで、

 リニューアルされた防災ブックでは、マンション防災に関する記載をどのように拡充したのか伺う。

(防災対策担当部長)
○防災ブックのリニューアルにあたっては、居住形態の変化等の社会状況を踏まえ、新たに「マンション防災」という項目を設け、日頃の備えや発災時の行動などについて分かりやすくまとめている
○具体的には、家具の転倒防止や携帯トイレ等の準備といった各家庭での備えに加え、マンション全体での備えが必要であることから、管理組合等における防災マニュアルの作成や備蓄、トイレやエレベーターなどマンション特有の課題への対応などについて記載
○また、マンションで被災した時の対応や、マンション防災チェックリストを盛り込むなど、記載を充実

防災ブックにおいて、マンション防災に関する記載が拡充されたことが分かりました。繰り返し述べられてきたように、都民の7割の世帯は集合住宅に居住しており、今の都民の暮らしを踏まえた内容になったことを評価します。

都は、防災ブックの中に記載するだけでなく、マンション防災のリーフレットを作成し、防災ブックと一緒に、全世帯配布を進めています。

我が会派は、「TOKYO強靭化プロジェクト」の素案である「都市強靭化プロジェクト」の時点で、コミュニティに関する記載がないことを指摘し、防災力の強化のためにはコミュニティへの働きかけが欠かせないことを指摘、「TOKYO強靭化プロジェクト」には、コミュニティに関する記載が追加されました。

この文脈で、私は、マンション防災のリーフレットで住民に防災への意識を高めていただく際には、地域防災の要である町会・自治会との連携について丁寧に訴求するよう求めてきました。

 マンション防災リーフレットの、具体的な内容について伺う。

A (防災対策担当部長)
○マンション防災に関するリーフレットでは、地震発生時に、一人ひとりが自分事としてとるべき行動、在宅避難で気をつけたいポイント、各家庭における備えなどについて、分かりやすく記載
○また、地域コミュニティの一員であるマンション等居住者に対して、日頃からあいさつや声かけを通じた顔の見える付き合いが重要であることや、地域の町会・自治会との連携なども災害時に力を発揮することを伝えている

実際にこのリーフレットを見た町会・自治会の関係者の皆様からは、マンション住民に対して町会・自治会の防災における役割を伝える記載があることを喜ぶ声をいただいています。

町会・自治会の皆様の高齢化、さらには、解散するケースも現れています。一度失われると、都内を網羅するネットワークを再構築することが難しいことは明らかです。「2022年首都圏新築マンション契約者動向調査」によれば、購入者の平均年齢は39.7歳とのことです。「いつかは戸建てに」の「住宅すごろく」が崩壊し、マンションを終の棲家として選ぶ人も増えています。マンションの居住者が地域防災の主体になるよう働きかけることは重要です。そこで、

 マンション住民と、町会・自治会との合同訓練を推進するべきと考えるが見解を伺う。

(防災対策担当部長)
○災害時には、町会・自治会、マンション、事業所など地域コミュニティを形成する団体が協力し合って被害の拡大を防ぐことが大切。それぞれの団体間の協力体制を構築し、初期消火訓練などを連携して実施することは有用
○このため都は、防災セミナーの内容の充実などにより、マンション居住者等と地域の町会・自治会との連携した活動を促している

「東京防災学習セミナー」のなかでも、マンション防災に関するセミナーへの今年の申し込みは100件ほどと、都民の感心も高いと聞いています。この中で、地域の町会・自治会との連携した活動を促しているとのことですが、啓発に続いては、
・実際に地域の町会・自治会との連携した活動をしたのか、
もしくは、
・自ら自治会を形成したか、
など、防災分野において、マンション住民と行政の接点ができ、それが機能するように、愚直に進めていただくことを要望しました。

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