「東京都政策連携団体経営改革プラン2023年度改訂版」について
都はこれまで、経営改革プランの策定・評価を通じて、政策連携団体の自律的なPDCAサイクルによる改革にとりくんできました。今回改定の対象となる第2期経営改革プランは3か年計画であることから、策定時と比べ、都政を取り巻く状況は人きく変化しています。
Q 1 このような変化を、今回の改訂版の経営改革プランにどのように反映しているのか伺う。
A 1(グループ経営戦略担当部長) 2 0 2 1年度の策定から2年が経過し、この間、ウクライナ情勢の長期化などによるエネルギーや原材料価格の上昇、新型コロナウイルス感染症の影響、デジタル技術の史なる進展など、団体経営や事業へ影響を及ぼす環境変化があった。こうした変化を踏まえ、今回の改訂では、「未来の東京」戦略等における重要政策、コロナ禍からの収支の安定化、都への積極的な政策・企画提案、デジタル技術の活用や多様な主体との連携の4つの視点を重視した経営目標の見直しを実施。
いずれも重要な観点です。
Q 2 これまで2期にわたる経営改革プランに基づく取組が、各団体の組織運営に具体的にどのような影響を与えたのか伺う。
A 2(グループ経営戦略担当部長) これまでの2期、6年間にわたり、団体の活動内容を「見える化」し、PDCAサイクルを回していく取組を着実に積み重ねてきた
〇団体からは、今後の事業展開の検討等が進むとともに、目標達成に向けた計画的な事業執行、社員・職員の改革意識の向上が図られたとの声や、行政、民間、NPO、大学等多様な主体との連携、取組のスビード感を重視する意識の釀成、経営の見える化の推進が図られたとの意見
〇これらの意見を踏まえ、今後も自律改革に向けた取組を推進
自律改革を独りよがりにしないためにも「見える化」は大切です。
私は、「令和3年第3回都議会定例会」の総務委員会で、「2020年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況」に関して、C評価だった「東京都社会福祉事業団」、D評価だった「東京水道株式会社」について質疑で取り上げました。いずれも低評価の原因となった事故がコンプライアンスの不足によるものであったことから、
東京都社会福祉事業団
経営目標に記載が不足していたため、改訂版における取組の強化
東京水道株式会社
経営課題にかかげた「コンプライアンス意識の向上」について、「コンプライアンス推進体制の強化は道半ば」とのことだったので、継続した取り組み
を求め、「令和4年第2回都議会定例会」の総務委員会では、これらの進捗をフォローしました。
今回、両政策団体の見直しにおいて、コンプライアンス強化にむけた取り組みが強化、進捗管理されている様子を確認しました。いずれも、事故を起こした当事者が身近に相談できる人がいたら防げたのではないか、と思われる事故であり、東京都社会福祉事業団については、「職員一人ひとりの取組を実施職員の悩みや不安を受け止める訪問相談員の実施」、東京水道株式会社については、「⼼理的安全性を⾼める取組の実施」が大切であること、これらにしっかり取り組んでいただくことを要望しました。
経営目標のあり方
今回の改訂プランを拝見して気になったことがあります。「2021 年度東京都政策連携団体経営目標の達成状況」で唯一S評価だった「東京都歴史文化財団」は、「戦略1」に「デジタルを活用した都立文化施設の利便性・アクセス性の向上戦略」とありますが、都立文化施設の収蔵品の目録の公開点数を着々と増やしているものの、これらのデータにどの程度のアクセスがあったかの記載はありません。
また、「戦略3」の「芸術文化版SDGsによる「誰一人取り残さない」共生社会の実現に寄与」は大変良い目標だと思いますが、それにむけての様々なプログラムを行ってはいるものの、どの程度障害のある方の鑑賞につながったのかについの記載はありません。
「東京都交響楽団」の「戦略1 新たなクラシックファン層の獲得による⾳楽芸術の更なる普及向上」も長年の課題だと思いますが、そのためのプログラムの記載はあるものの、実際、新たなファンを獲得できたかどうかは不明です。唯一ある数字は、「自主公演の年間入場者率」ですが、新たなファンかどうかわかりません。
私が最も違和感をもったのは「東京臨海ホールディングス」です。子会社であるビックサイトに関する記載はあるものの、いずれも展示場の稼働率など、イベントや展示会が誘致できたかどうかにとどまっています。ビックサイトの大規模改修工事には都民の税金数十億円を使っています。そして、事業目的として「都内中小企業の販路開拓と産業振興」と聞いています。これにつながったのかの評価は必須ではないでしょうか。
一方で、令和2年に設立されたばかりの「東京都つながり創⽣財団」は、都内在住外国⼈への⽀援として、ポータルサイトへのアクセス数や窓口での相談件数、やさしい日本語の認知度など、団体の存在意義と結びついた目標が示されています。
このように、現行プランの目標設定において、具体的取り組みやKPIの管理にとどまり、最終目標との関係が見えにくい団体がある一方で、団体の使命や存在意義を踏まえ、取組に対する成果であるアウトカム視点の目標設定ができている団体もあります。
Q3 今後も各団体が経営目標を設定するに当たっては、アウトカム視点の目標設定を行うよう指導を行うべきと考えるが見解を伺う。
A 3 (グループ経営戦略担当部長) アウトカム視点での経営目標を設定することは、団体経営の質の向上のほか、都民への説明責任を果たしていく上で重要。このため、経営目標については、事業の実施回数ではなく、事業を実施することにより都民や事業者等にもたらされる成果に関する数値など、都民に分かりやすく、現実的かつ評価しやすいものを設定するよう指導。今後は、各団体が経営目標を設定する再、参考となる好事例を提供することで、より一層のアウトカム視点での目標管理の徹底を促していく
都民のQOL向上に貢献しているのか、つまり、都民ファーストになっているかを自律改革の軸とすることを要望しました。
「東京都地域防災計画 震災編(令和 5 年修正)素案」へのパブリックコメント
「合同防災訓練の実施に当たり、要配慮者が関わることは、訓練の実効性を高める上で重要であるため、要配慮者との連携について、追記すべき」、「情報の取得に困難を抱える障害者に配慮した情報発信を行う必要があるため、アクセシビリティの確保を念頭に置いた記載内容にすべき」などの指摘がありました。半年に一回のペースで開催している都政報告会の、第10回都政報告会のテーマは「防災とコミュニティ」でしたが、ここでも、要配慮者への対応が課題にあがりました。大変重要な視点であり、今後の防災の取り組み全般において、要支援者への配慮を念頭において取り組んでいただくことを要望しました。
発災直後の情報収集のデジタル化支援について
大震災では被害が同時多発的に発生することから、地域の協力が不可欠です。「東京都地域防災計画 震災編(令和5年 修正)」の、10年間の変化等を踏まえた課題と解決に向けた基本認識のなかで、「家庭や地域における防災・減災対策の推進 が重要【視点1】」、「一人ひとりの防災・減災対策に加え、町会、 自治会、ボランティア等が連携し、 地域の総力を結集して防災力を高めていく」や、「応急体制のさらなる強化が必要【視点2】」と明記したことを評価します。
都は、「災害時都民台帳システム」を令和5-6年にかけて開発すると表明、現状契約の手続きを進めており、終了次第開発に入るとしています。
これまでにも述べてきたように、被害の把握、地域の連携、そして要支援者の避難に、防災DXの推進は不可欠だと考えます。先の「災害時都民台帳システム」は1週間以降の被害の把握を目的に開発しているとのことで、一方、72時間~1週間の被害状況や避難所の運営状況等については、区市町村や関係機関がDISに入力するほか、被災者の被災状況については、区市町村が「被災者生活再建支援システム」に入力することになっています。
一方、国は、まだ防災DXを独自に開発・導入できない基礎自治体が有償で使えるよう、「クラウド型被災者支援システム」を公開しました。今年度から公開と新しいシステムであることから、住民基本台帳はもとより、証明書等の発行においてマイナンバーと連携させるなど、被災者一人ひとりに紐づけられる仕組みとなっています。
発災直後から72時間は人命救助において重要であり、特に要支援者が避難できたかどうか、必要な対応がされているか、を一人ひとりに紐づけた状況の把握が必要になります。つまり、発災直後から72時間、そして1週間こそ、この一人ひとりに紐づけた情報取集と共有が重要であり、デジタル化が求められる部分です。
国の開発する「クラウド型被災者支援システム」では、避難行動支援者名簿の作成や個別避難計画の作成、要支援者名簿との連携、要支援者に関する情報を支援に関連する複数機関が入力できるなど、要支援者関連機能が充実しています。
Q4 避難に当たってとりわけ困難を抱える要支援者の命を守るため、基礎自治体が担う発災直後から1週間後の応急対策や情報把握のデジタル化についても都が推進するべきと考えるが、見解を伺う。
A4(西山防災対策担当部長)都が区市町村と共同で運営している「被災者生活再建支援システム」では、各区市町村が、被災者情報や、その被災者が要支援者であるかどうかを把握することができる仕組みとなっている。現在、同システムについて、要支援者に関する個別避難計画の作成や安否確認の登録など、国の「クラウド型被災者支援システム」と同様に、より詳細な情報を管理できるよう、事業者が機能の追加に向けて開発を行っており、区市町村は、これらの機能を活用し、要支援者の避難状況等を把握することが可能。今後は、新たに開発した機能の周知や活用を呼びかけ、区市町村による要支援者の情報把握の充実を支援。
都内の多くの自治体が利用する「被災者生活再建支援システム」でも、国の「クラウド型被災者支援システム」と同様の機能を持てるよう追加開発することを確認しました。重複開発は避けたいところですが、「被災者生活再建支援システム」でこれまで進めてきた以上、難しいのかもしれません。
東日本大震災では、障害のある人の死亡率は、全住民のそれのおよそ2倍だったといわれています。
区市町村による要支援者の情報把握の充実を支援することを改めて要望しました。
地域防災について
代表質問でも取り上げたように、阪神・淡路大震災では8割の人が地域の方に助けられたという前例も踏まえ、わが会派は「TOKYO強靭化プロジェクト」において、コミュニティに関しても記載すること、そして、この強化に取り組むよう求めてきました。特に、地域で活動していると、消防団や町会・自治会など、地域防災の意義を認識し関わる人と、それ以外の人に大きくわかれるように感じる。
今回、「東京都地域防災計画 震災編(令和5年修正)」に、「防災に関心のない人に向けた普及啓発の充実強化等により、自助・共助を底上げ」を明記したことを評価。
Q5「防災への関心が低い層への重点化」の具体的中身について伺う。
A5(西山防災対策担当部長)都は、これまで、町会・自治会をはじめとする自主防災組織を対象に東京防災学習セミナー等を実施。関東大震災から100年となる今年度は、シンポジウムなどの防災イベントを実施するとともに、セミナーを更に充実させ、新たに大学生等を対象とした「キャンパス出前講座」を開設するなど、幅広い年代層への普及啓発
若い世代に向けた取り組みの新設についての答弁でしたが、南海トラフ地震については、マグニチュード8~9クラスの地震の30年以内の発生確率が70~80%(2020年1月24日時点)とされており、つまり、明日かもしれないという状況です。従前より私が課題であると伝えているのは、将来を担う世代ではありません。今の世代で防災に関する取り組みに関わる人とそうでない人で二極化していることであり、これの解消に努めることを求めてきました。その意味で、以前より、コロナ禍を経て増加した、テレワーカーへの働きかけも求めてきました。
Q6 テレワーカーや外国人が地域の「新たな共助の担い手」として活躍できるようにするために、どのような具体策を考えているか。
A6(西山防災対策担当部長) テレワークによる日中の在宅勤務者の増加や、外国人在住者が多い実態を踏まえ、大規模災害等が発生した場合に、これらの方々が共助を担う地域の一員として活躍できることが重要。防災ホームページなどを通じた企業向けの情報発信や、関東大震災100年を契機にリニューアルし、全世帯に配布する防災ブックなどを通じ、自助・共助の重要性について普及啓発
これまで地域防災の担い手は自営業かリタイアされた方、最近は女性にも働きかけをしてきましたが、テレワークという新しい働き方が広がるなか、地域防災への関わりを求める取り組みを今後も継続して行ってまいります。
減災目標
先の代表質問では、関東大震災100年を節目に各局が行う様々な取り組みに、これまで参加できていない層にリーチし、より幅広い層に参加していただくことを求め、知事より、特設ホームページに集約、SNSや動画配信を通じて発信する旨の答弁をいただいきました。
現時点では、「東京都地域防災計画 震災編(令和5年修正)」の「減災目標」には、物の指標しかないが、関東大震災100年を節目に各局が行う様々な取り組みが、本当に「防災に関心のない人に向けた普及啓発の充実強化等により、自助・共助を底上げ」につながったかの評価も必要だと考えます。
それは、従来のようなイベント参加者に直後に防災意識が高まったかどうかを聞くような評価ではなく、
・行政が行う防災イベントに、今年初めて参加した都民がどの程度いるか
そして、実際に、自助・共助の底上げにつながったかについては、例えば、
・テレワークしている人の災害発生時の地域における役割の状況
さらには、
・災害発生時に頼れる近所の人の数
・支援が必要な配慮者に対する認識(存在を把握しているか、何をすればいいか知っているか)
など、都民の無作為抽出にて、この1年の取り組み前後で、いわゆるソーシャルキャピタルの変化を確認するなどが考えられます。
Q7 コミュニティの強化に取り組むにあたり、施策の効果検証のため、このようなソーシャルキャピタル系の指標も入れるべき。見解を伺う。
A7(防災計画担当部長)都は、今回の地域防災計画修正にあたり、2030年度までに首都直下地震等による人的・物的被害を半減させる減災目標を設定するとともに、防災対策の進捗と減災目標との関係を一層明確化するため、目標とすべき指標を定めたところ。今後、理事ご指摘の地域コミュニティの強化も含め、現在、数値化されていない施策の進捗を把握するための指標についても工夫
評価指標を工夫するという、前向きな答弁です。コミュニティの防災力強化にむけて「何をしたか」、ではなく、「コミュニティがどう強化されたか」のアウトカムの評価として取り組んでいただくことを要望しました。
マンション防災
都民からの指摘を踏まえ、平成30年6月の総務委員会で「くらし防災」における「マンション防災」の扱いの少なさをとりあげてから5年。都民の約7割の世帯が集合住宅に居住するといわれるなかで、わが会派は昨年末の予算要望で、「マンション防災」の強化を要望しました。減災目標の達成に向けた主な取り組みとして、東京の特性を踏まえた「マンション防災」の展開が記載されるようになったことを高く評価します。
都民からの指摘を踏まえ、平成30年6月の総務委員会で「くらし防災」における「マンション防災」の扱いの少なさをとりあげてから5年。減災目標の達成に向けた主な取り組みとして、東京の特性を踏まえた「マンション防災」の展開が記載されるようになったことを高く評価します。
代表質問で、「マンション防災力を高めるためには、住民同士が助け合う共助がなされ、地域のコミュニティが十分機能尾することが重要」と述べ、知事からは「今後、住民や管理組合などに対する普及啓発を充実、マンションで設立された自治会の取り組みや地域コミュニティとの連携の好事例を広めるなど、自助・共助の強化に取り組む」との答弁をいただいています。
「マンション防災の展開イメージ」ですが、
・助け合いの精神の醸成
・町会・自治会支援を通じたコミュニティ活動の促進
・災害時でも生活継続しやすいマンションの普及
について記載され、それぞれ総務局、生活文化局、そして住宅政策局が実施、連携して取り組むと理解しています。しかしながら、現状、マンションに居住する人の多くは、人付き合いの煩わしさから逃れらえることを利点としていると考えられます。また賃貸やワンルームなどで長く居住するつもりのない人もいます。つまり町会・自治会とはややなじみにくいと思われ、このような住民の意識変革は容易ではないと想像できます。
Q8 「町会・自治会支援を通じたコミュニティ活動の促進」に記載されている「マンションにおける自治活動や地域コミュニティとのつながり強化」の具体的中身について伺う。
A8(西山防災対策担当部長)マンションの居住者であっても地域の一員であることから、居住者以外との相互連携による共助を踏まえ、地域コミュニティと一体となった災害活動の推進を図ることが重要。今後、関係局が連携し、マンションで設立された自治会の取組や地域コミュニティとの連携の好事例を広めるなどの取組を行うとともに、マンション等の実態に応じた具体策を検討
実態に応じた具体策を検討するとのこと。期待したいと思います。
私は以前より、住民によるエレベーター再稼働訓練を推進するよう求めてきました。最近は事例も増えてきています。都は、対策として「エレベーターの早期復旧に向けた全国的な応援体制の構築」をあげていますが、エレベーターにはメーカー・種類があり、普段対応していないものに対応するのは難しく、さらには、誰か(行政)がやってくれる、のではなく、自らでやる仕組みのほうが自助・共助のマインド育成にもつながると考えます。
Q9 マンションのエレベーターにおける課題への対応について、リーフレット、セミナー等で知らしめるとしているが、対応状況について伺う。
A9(西山防災対策担当部長)都は、7月から実施するマンション防災セミナーにおいて、マンション特有の災害対応の一つとして、エレベーターの閉じ込め救出訓練の事例を紹介。加えて、マンション防災に関するリーフレットを全世帯に配布するとともに、都の防災ホームページに掲載することで、広く都民に周知
既に、住宅政策本部が作成している「マンション管理ガイドブック」の、第I章「管理組合編」の第4章「マンションの社会的機能を向上する取組」の第19「居住者コミュニティ・地域コミュニティ」には、居住者コミュニティの維持・形成、行政や地域コミュニティとの連携について2ページのみ書かれています。
ここに、一般社団法人マンション管理業用協会の事例紹介サイトが紹介されており、ここには、「防災・防火」はじめ様々な事例がすでに掲載されています。マンションには維持管理を目的とした管理組合はあっても、自治組織・自治会があるところは少ないことを踏まえ、以下を提案しました。
総務局は、防災ブックとともに、リーフレットを全戸配布するとしていますが、この中で、
・災害発生時における自治会の役割
・自治会に向けた事業の紹介(地域の底力発展事業など)
・自治会形成にむけた手続き
を具体的に記載するなどにより、自治会の形成または加入率を確実に高め、マンション住民の防災力向上につなげる
さらに、生活文化スポーツ局には、町会・自治会が地域の課題解決にあたって、本業のスキルを活かして社会貢献する「プロボノ」を活用する「地域の課題解決プロボノプロジェクト」事業があります。マンションで自治会が形成された暁には、類似の枠組みで、マンション自治会の活動を支援していく必要があると思うので、局連携した検討を求めました。
ユニバーサルデザインのトイレ
手術により人工肛門や人工膀胱を保有するオストメイトは、ストーマを常時装着する必要があり、オストミー対応のトイレを必要とします。公益社団法人 日本オストミー協会 東京支部からは、私鉄やJR、都営地下鉄等では、オストミー対応トイレが普及しているのに、都有施設、さらには災害時の避難所になる学校で普及していない、との声を頂いています。
令和2年に福祉保健局が作成した「多様な利用者に配慮したユニバーサルデザインのトイレづくりハンドブック」があります。ここには、オストメイト用設備はじめ、トイレのユニバーサルデザインが紹介されています。
Q10 学校等避難所のトイレについて、本ハンドブックを踏まえた更新を進めるべきであるが、見解を伺う。
A10(防災計画担当部長)発災時に多様な被災者が集まる避難所において、災害に強いトイレや、多様な利用者のニーズに配慮したトイレを整備することは重要。このため都は、避難所となる公立学校の災害用トイレ整備を行う区市町村への支援や、避難所における要配慮者のニーズにも対応した施設・設備の整備等について、地域防災計画に位置付け。今回の計画修正では、要配慮者等の視点を踏まえた総合的なトイレ対策を推進していくこととしており、区市町村等と連携し、トイレを含む安全で質の高い生活環境の確保に努めていく
「東京都地域防災計画 震災編(令和5年 修正)」のP565に、「生活必需品等については、毛布、敷物、簡易トイレ、紙おむつ、生理用品、 ストーマ装具などを確保する。」と記載したことを評価します。ただし、ストーマには種類があることから、当事者からは「ストーマのストック場所」を設けてもらうほうが助かるとの声があり、横浜市や土浦市等では、住居が被災し、ストーマ用装具が持ち出せなくなった場合に備えて、自己所有のストーマ用装具を預かったり、保管場所を提供するなどの取り組みをしています。
Q11 そこで、都から、こうした対応を都内区市町村に促すべき。見解を伺う。
A11(防災計画担当部長)避難所の運営にあたっては、避難者個々の事情に応じた、きめ細かな対応を行うことが重要。地域防災計画では、被災者の視点に立った防災対策を推進するためには、要配慮者に対して、きめ細かい配慮が必要であるとしており、今後、自治体の好事例を横展開していくなど、ストーマ用装具への対応も含めた、避難生活の環境改善に努めていく
面的な無電柱化
「面的な無電柱化を推進するため、区市町村や民間の取組を支援」と記載されていますが、世田谷区には住宅地の一体的な開発に伴い私道を設けた例が少なくありません。
Q12 そこで、私道における無電柱化の取組支援の状況について伺う。
A12(防災計画担当部長)地域防災計画では、被災時における円滑な交通の確保に向け、面的な無電柱化を推進するための民間等の取組支援を、新たに位置付け。具体的には、都市整備局において、木密地域における私道等の無電柱化の支援を拡充し、取組を進めている
世田谷区の私道では、住民の高齢化とともに維持管理の費用捻出が難しくなっていると聞いています。無電柱化を面的な広げるため、私道の更新費用の補助とともに無電柱化を推進する取り組みを要望しました。
リスクの低いエリアへの居住への誘導策(コラム)
今週、損害保険各社が来年度、水害を補償する水災保険の保険料を上げるとの報道がありました。現在は全国一律ですが、24年度以降は契約者の住まいがある市区町村別の水災の危険度に応じて5段階に分けるというものです。異常気象による自然災害が多発している米国では、保険会社の破綻が相次ぎ、大手保険会社が住宅向け損害保険の引き受けから撤退する例も出てきています。
基礎自治体によっては、転入転居に補助を出したり、国は「地方創生移住支援事業」を2019年に開始し、東京から地方へ移住する世帯に原則100万円支援金を給付するなどしています。
リスクの高いエリアでの居住について防災の取り組みを進めることは当然ですが、長期的に人口減少トレンドであることを踏まえると、転居後の住まいの標高が、元の住まいよりも高くなる場合に補助金を出すなど、より水害・災害に強い場所に都民が住むインセンティブを検討するなども必要ではないか、と考えます。
帰宅困難者対策
帰宅困難者対策についても継続してとりあげてきました。普及啓発のために「事業所防災リーダー」事業が創設され、実施計画でも一斉帰宅の抑制の対策の要として「事業所防災リーダー」の拡大・拡充が挙げられています。
事業所防災リーダーの登録数については、昨年の11月30日の本委員会の事務事業質疑は、696社、2,653人との答弁をいただきました。そこで、
Q13 現在の「事業所防災リーダー」の登録者数を伺います。
A13(西山防災対策担当部長) 昨年度末時点での「事業所防災リーダー」の登録者数は、920社、3037人となっていた。本年6月13日現在では、1896社、4137人と増加。
「事業所防災リーダー」の登録者数が増加していることは評価するものですが、都内の事業者数は63万か所といわれ、それに比べればまだまだです。そこで、
Q14 「事業所防災リーダー」への登録数の拡大に今後、どのように取り組むのか。伺う。
A14(西山防災対策担当部長)「事業所防災リーダー」の登録者数を増やすため、昨年度は、防災に関連する企業等を優先し、訪問して登録を促すとともに、電話による事業所等への働きかけ。今年度は、企業の業種を拡大するとともに、訪問や電話を通じ、より多くの事業者に働きかけている。今後は、企業の経営者層への効果的な普及啓発など、様々な手法により、積極的に働きかけを行っていくことで、登録者数の拡大を図っていく。
努力を評価しますが、都内企業と付き合いが多いのは産業労働局です。産業労働局は事業を通じて例年3,000社程度の企業との付き合いがあると聞いています。これらのタッチポイントを活かして、登録を促すパンフレットを配ったり、もう少し強制力を発揮するのであれば、例えば、都の事業に手を挙げる場合に事業所防災リーダーへの登録を要件とするなど、検討を要望しました。
帰宅困難者対策オペレーションシステム
帰宅困難者対策については、第一回定例会の本委員会で、私から、453万人とも想定される帰宅困難者へのアクセスが集中することに対する対策を質問しました。総務局からは、自動的にサーバを増やす機能など、約450万人分のアクセスに耐えられるようにするとともに、さらに多くのアクセスに対応できるよう検討していくとの答弁をいただいています。
このシステムが運用されれば、現場で実際に帰宅困難者対策を行う区市町村や、行き場の無い人たちを受け入れる一時滞在施設の管理者が使用することとなります。より良いシステムを開発するためには、使い勝手などこれらのユーザーの意見をよく聞くことも重要であると考えます。また、ユーザーが災害時に的確に操作できるよう、システムは帰宅困難者に情報発信が可能となる令和6年度中までに開発するということですが、アジャイル開発ですので、実装できた機能からリリースすることで、早めにシステムの習熟度を高めてもらうことも必要だと考えます。そこで、
Q15 帰宅困難者対策オペレーションシステムにおいて、実装できた機能を、区市町村や一時滞在施設の管理者に対し、ユーザーテストを実施するとともに、早期にリリースすべきと考えるが、都の見解を伺う。
A15(西山防災対策担当部長)災害時において、システムを有効に活用するためには、まずは帰宅困難者対策に携わる区市町村や一時滞在施設の管理者が、使いこなせるようにしておくことが重要。そのため、都は現在、区市町村等が使用する機能について試作版を作成し、体験利用等を通じて、意見を伺っている。今後、こうした意見も踏まえ、区市町村等向けの機能を開発し、リリースする。
昼間人口に代表されるように、昼に被災したのと土日、さらには夜に被災するのでは、地域における被災者の数は大きく異なってきます。「帰宅困難者対策オペレーションシステム」に個人の属性を登録できるようになれば、地元自治体の被災者の状況把握に役立つと考えます。DISはもちろんだが、将来的にはマイナンバーカードとの連携、基礎自治体の「被災者生活再建支援システム」、国の「クラウド型被災者支援システム」との連携なども視野に入れていただくよう、要望しました。
コメント