「令和4年度各会計決算特別委員会」第3分科会③~都市整備局(1)グリーンインフラ関係

福島りえこ,世田谷区,都民ファーストの会,都議会議員ブログ

10/25は、都市整備局の決算について質疑を行いました。令和元年に開催した都政報告会以降、継続して取り組み、来年度の重点政策にもなった「グリーンインフラ」に関連する「雨水流出抑制事業費補助」「緑あふれる公園緑地等整備事業」の令和4年度の実績を確認しつつ、今後の取り組みを要望しました。

雨水流出抑制事業費補助について

都内の浸水被害額の7割が内水氾濫によるもので、都市部で起こりやすいとされています。

都市部では市街化が進み、地表がアスファルトなどで覆われたことにより、雨水が浸透できる土壌が減少し、その結果、雨水はアスファルト上を流れ、その多くが下水道や貯水池等の排水施設に流れ込みます。これが都市の排水機能を超えると、雨水があふれ、内水氾濫につながります。

都は、平成26年6月に改訂した「東京都豪雨対策基本方針」に基づき、区部では時間75ミリ、多摩部では時間65ミリの降雨に対応できる貯留施設等の整備を進めるとともに、下水道、河川への負荷を減らす「流域対策」についても、流域平均10ミリ程度の分担を目標に取り組んできました。

Q1 都では「東京都豪雨対策基本方針」に基づいた流域対策として、個人の取組についても支援をしているが、補助制度の仕組みと令和4年度の実績について、伺う。

A1
・東京都では、平成19年度から個人住宅の敷地に雨水浸透ますなどを設置する際、その費用を助成する区市に対して補助を行っている
令和4年度の補助実績は258件

都内で258件と聞くと大変心もとないですが、令和5年予算特別委員会の質疑において、令和19年度までの目標に対して、令和2年度末の数字ではあるが、進捗率が約6割と、おおむね順調に推移してきたことは確認しています。

一方で、令和4年12月に公表された「TOKYO強靱化プロジェクト」では、昨今の豪雨の発生状況を踏まえ、時間85ミリの対策を進める必要性が指摘されました。そして、今月9日には、東京都が対策するにあたって想定する降雨量を区部、多摩部でそれぞれ10ミリ増やす方針を公表したところです。すなわち、「流域対策」についても一層の強化が求められます。そのために、以下2点を要望しました。

(1)都の雨水流出抑制事業が区市に対する間接補助であり、制度がない基礎自治体については支援ができないことから、雨水浸透ますなどの設置が求められるにも関わらず制度のない自治体に対しては、改めての働きかけを行うこと。
(2)「グリーンインフラ」に関する支援を創設すること。
「グリーンインフラ」の事例として、雨庭や建物緑化が知られていますが、自然のもつ雨水浸透機能を積極的に活かす取り組みです。見た目でわかる、そして美しいこともあり、先進地域では、住民が自宅や地域にグリーンインフラを導入、その維持管理に関わることで、雨水浸透の必要性を理解し、豪雨対策を行政まかせにせず、住民が主体的に関わっていただける効果も認められています。
わが会派は、令和元年11月平成30年度公営企業会計決算特別委員会以降、シンガポールやニューヨーク等の諸都市、そして、国内では、私の地元世田谷区の取り組みなどを紹介するとともに、都による推進を継続的に求め、都は、来年度予算編成における重点方針としてこれを掲げました。
令和5年第3回定例会のわが会派の代表質問に対し、知事からは「全庁一丸となって、取組を前に進めるとともに、区市町村や民間事業者による導入も促進するなど、取組の輪を社会全体に拡大していく」との答弁を得ています。

緑の保全、創出について

決算報告書では、令和3年度から始まった「緑あふれる公園緑地等整備事業」の執行率が36.3%にとどまっているとされています。

Q1 区市町村が、都市計画公園・緑地以外の身近な公園・緑地を整備する際に活用できる補助制度、「緑あふれる公園緑地等整備事業」補助制度の令和4年度の補助実績について伺うとともに、区市に本制度の活用を促すために、どのように取り組んだのかについても伺う。

A1(都市づくり政策部長)
・令和4年度の補助実績は、1区4市において5か所、合計約0.8ヘクタール、執行額は1億3千万円
・都は、区市に本制度の活用を促すために、補助に関する区市への説明会の実施、区市からの相談に対する技術的な助言などにより、制度の周知と活用の促進に努めてきた
・ 区市から公園整備の現状や補助制度に対する意見を聴き、さらに使いやすい制度となるように検討

先に「グリーンインフラ」の推進の重要性について述べたましたが、会派メンバーで視察した善福寺川流域では、宅地化が進んだことで、豊かだった湧き水の減少により平時の水量が減少し水質が悪化するとともに、大雨が降ると内水氾濫が起きやすくなっています。そして、わずかに現存している屋敷林さえも、相続の問題で維持が難しくなっていると聞きました。一旦、開発が進んでしまうと回復は困難です。グリーンインフラ促進の観点からも、区市に本補助制度をより一層活用してもらえるよう、雨水貯留浸透機能を有するまとまった規模の樹林地等の公園整備には補助率を上げるなど、さらなる工夫を要望しました。

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