「時短でも管理職」~女性のキャリアアップの支援拡充
今年のノーベル経済学賞は、男女間の賃金格差等の研究で大きな業績を上げたクラウディア・ゴールディン氏が受賞されました。そのゴールディン氏は、日本の状況について、「日本の女性の労働参加率は上がったが、男性のようにフルタイムで昇進がある仕事についておらず、パートタイムが多い」と指摘しています。
日本の現状として、女性が結婚・出産後も働き続けるケースはかなり増えてきましたが、今後は、管理職昇進など女性のキャリアアップに向けた支援が必要です。「時短勤務でも管理職」になるのが当たり前となる環境整備を進めることは、女性に限らず、「育業を取ることでキャリア上マイナスになるのではないか」と悩む男性の後押しにもなります。
Q 女性管理職を増やす取組や、短時間勤務の労働者のキャリアアップに向けた支援など、働く女性が活躍できる職場環境づくりへの支援を強力に推進していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
A(知事)
○わが国で未だ生かし切れていない女性の力を経済の分野で十分に発揮する取組は待ったなし。会社経営の一部を担い管理職として腕を振るう女性を増やす取組を進めることは不可欠。
○働く女性は出産等により、仕事に打ち込む時間やその実力を高める機会を確保できない場合も多い。
○都は、 男性の育業により女性が職場で活躍する環境づくりを支援し、そのスキルアップも後押ししてきた。 一方、東京くらし方会議では、限られた時間で重要な仕事をこなしキャリアを高める女性のルートづくりの大切さが議論されている。
○今後、女性が出産や育児による時間の制約を乗り越え、職場でマネジメントの担い手となるよう、 企業に対し意識や文化の変革を呼びかけていく。
○非正規の勤務で短い時間の中でも優れた成果を出す女性について管理職への登用を促していくため、会社に対するインセンティブの仕組みをつくり上げる。
○これにより女性が仕事で輝ける社会を実現していく。
私が「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011」の大賞を受賞した一年は、様々な女性活躍を目的としたイベントに出席しました。その中で印象に残っているのが、以下の2点でした。
・キュリー夫人が活躍したフランスでも、競争的資金の獲得に女性研究者が手をあげるには、肩を押してあげる必要がある(自分にその資格があると思わないケースが少なくない)
・スウェーデンでは勤務時間の長短に関わらず管理職になれる。
都が率先して、勤務時間の長さによらない昇格を支援することを表明したことを評価します!
元気シニアの活躍の場の拡大
超高齢社会を迎える中、意欲や能力に応じてシニアの皆様も社会の中で活躍できる仕組みや環境を整えることは大切です。定年を過ぎても働きたいと希望するシニアは多い一方で、実際の有業者は3割未満にとどまっています。
その理由の一つが、シニアのニーズと企業側の求人間の勤務内容や時間、職種のミスマッチです。「フルタイムでは難しいが、1日の中でたまたま空いた時間をうまく使い働いてみたい」というニーズに応える求人開拓を積極的に行うことは、地域の人手不足の解消にもつながることが期待できます。
Q 第三回定例会では、私たちの求めに応じ、都は今後シルバー人材センターをリニューアルする方向性を示しましたが、短い時間を効果的に使い仕事をしたいと考える高齢者が企業や地域で一層活躍できるよう後押しを進めるべきと考えます。見解を伺います。
A(産業労働局長)
○高齢者の就業の促進に向け、その希望する時間に応じ地域の仕事や会社の業務を担うことができるよう後押しすることは効果的である。
○都内各地のシルバー人材センターは、地域の公園を管理する仕事や会社の事務の手伝いを半日や一日の単位で行う求人などを集め、高齢者に提供している。
○今後、同センターでは、地域や民間からより限られた時間の中で従事できる仕事を数多く掘り起こし高齢者に提供する。その際、DXを活用し仕事の内容や時間を迅速に伝える工夫も行う。
○この取組に向け都は同センターを支援するしごと財団と協力し的確なサポートを進めて参ります。
また、シニアの社会活躍に向けては、仕事以外にも、例えばボランティアや生涯学習、趣味活動等の社会活動を後押しすることも重要です。
Q 元気な高齢者の方が、これまでの経験を活かして、様々な地域活動への参加や活動の担い手となっていただく環境を整えることが必要だと考えますが、見解を伺います。
A(福祉局長)
○都は、シニア・プレシニアと社会参加活動との広域的なマッチングを図るため、オンラインプラットフォームを構築することとし、令和7年度からの本格稼働に先駆けて、情報提供などの一部機能を持たせた「地域参加のトビラ」を本年9月からホームページに公開している。
○今後、本格稼働に向けて、都民のニーズに合った情報を一元化し個々の希望に応じて、仕事や学び、趣味、地域活動、介護現場での有償ボランティア等の情報を速やかに提供できる新たな仕組みを検討するなどシニア・プレシニアの社会参加をより一層促進する。
若者世代に向けた住宅支援
これまで、20代から30代の若者世代は働き盛りであり、将来的に賃金が伸びていく見込みがあったことなどから、行政の支援対象から外れてきました。しかし、長期にわたる日本経済の停滞や重い社会保険料負担などにより、今や若者世代は、経済的な不安定さなど厳しい状況に置かれています。行政はこの世代の課題に正面から向き合いサポートしていくべきです。
特に都内は住居費の負担が大きいことから、JKKが実施している35歳以下への家賃割引制度である「ステップ35割」を抜本的に拡充するなど、若者全般に対する住まいへの支援・家賃負担の軽減に取り組むべきです。
Q東京ささエール住宅の専用住宅の供給促進や、若年層利用拡大に向けた条件の緩和、民間シェアハウスとの連携、都営・公社住宅の提供など、若年層の住まい確保への支援を抜本的に強化すべきと考えますが、見解を伺います。
A(住宅政策本部長)
○若年層には所得が低いなど住宅の確保が困難な方がおり、そうした方を含む住宅確保要配慮者の居住の安定には、重層的な住宅セーフティネット機能が重要。
○都では、国の補助制度を活用する区市町村への財政支援に加え、都独自の支援などを通じ、東京ささエール住宅の専用住宅の供給促進を図っている。
○また、都営住宅における TOKYO TOKYO チャレンジネット事業への住戸の提供や、公社住宅の一部住戸で若年層を対象にした一定期間の家賃割引などの取組を進めている。
○こうした取組を含め、社会経済状況の変化に応じ、若年層を含む住宅確保要配慮者の居住の安定を図っていく。
具体的な答弁ではありませんが、継続して若者世代への住宅支援の重要性を伝えていきます。
スタートアップとものづくり中小企業との連携推進
人と人とを繋ぎ、イノベーションを生み出すため、私たちはこれまで、スタートアップをはじめ、東京商工会議所やスタートアップと連携する地域の企業と意見交換を行ってきました。そこで示唆されたのは、中小企業や町工場がスタートアップと連携することの重要性です。例えば、スタートアップが考案した製品について、技術力のある中小企業がプロトタイプの作成に協力したり、改良をアドバイスすることにより、共同開発や量産化の実現に近づくことができます。
Q 都は、Tokyo Innovation Base(TIB)において、こうしたハードウェアなどに関する、中小企業が持つ優れたノウハウを活用し、スタートアップとの協業を加速していくべきと考えますが、見解を伺います。
A(国際金融都市戦略室長)
○東京イノベーションベースでは多様なプレイヤーが自らの技術やノウハウを持ち寄り、みんなでスタートアップを応援することをコンセプトとしている。ものづくり分野でも、 大企業によるオープンイノベーションに加え、優れたスキルを持つ中小企業との連携により、製品の実用化に向けたきめ細かな支援を 実施していく。
○TIBに「ファブスペース」 を新設しプロトタイプの製作等ができる機器を導入する。専門の技術者が、素材や設計の改良、製品の機能検証等をサポートする環境を整備し量産化に向けた適切な協業先をアレンジすることで、スタートアップの成長を強力に後押しする。
空飛ぶクルマのロードマップ策定
先の定例会における、藤井あきら都議の一般質問において、空飛ぶクルマの実装化に向けたロードマップの策定について強く訴えたところですが、今回の小池知事の所信表明において、戦略的なロードマップの策定が示されたことは極めて重要です。
空飛ぶクルマの飛行に向けては、垂直離着陸用の飛行場であるバーティポートの整備など様々な課題もあり、官民を挙げた取組が求められます。
Q 空飛ぶクルマのロードマップの策定に当たっては、空飛ぶクルマを取り巻く課題に対し、民間と連携しながら解決していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
A(知事)
○空飛ぶクルマは、新たな次世代モビリティとして世界各地で熾烈な開発競争が繰り広げられている。交通渋滞の緩和や交通空白地域の解消など、様々な社会課題に解決をもたらすこの新技術を、一刻も早く実装していかねばらない
○一方で、空飛ぶクルマの認知度、機体開発や離発着場整備に関する規制など乗り越えなければならない課題も存在。
○都はこれまでも、中央防波堤における巨大実装フィールドの活用、ビジネスモデル検証など都心部での社会実装に向けた取組を推進。
○これをさらに加速させるためには、官民で目標を共有するロードマップを描くことが重要。実装に向けた行程を示し、拠点飛行に必要な離発着場の検討を進めるとともに、空飛ぶクルマが実際に飛行する姿を示すことで社会受容性を高める。
○今後、国や民間事業者との連携を一層強化し東京から世界に向けて、大きな変革を生み出していく。
水素取引所の設置
先日、小池知事は、ドバイで開催されたCOP28に出席され、ドイツ政府などが設立した財団である「H2グローバル」と連携し、東京にグリーン水素の売買を仲介する水素取引所を立ち上げる取組を進めることを表明しました。
製造段階からCO2を一切排出しないグリーン水素は、持続可能な社会を実現する切り札としてその普及拡大に向けた取組が世界的に進んでおり、都も意欲的に取り組むべきです。
Q 都が水素取引所の立ち上げに取り組む意義と今後の展望について、知事の見解を伺います。
A(知事)
○地球規模の気候変動への対策を進めるため、 脱炭素に効果の高い水素の活用は待ったなしだ。COP28で、世界の都市のリーダーの一人として、私は水素の利活用の活性化を推し進めるため、東京にその取引所を作りあげる構想を明らかにした。
○再生可能エネルギーで生み出したグリーン水素を需要家に着実に渡す仕組みの確立を
目指す。これにより、グリーン水素の安定した取引を増やし、 将来の国や海外でのマーケット作りに結び付ける。構想の実現に向け、取引に参加する水素の生産者や利用者の意欲を高める働きかけを行う。
○海外で水素取引に優れた知見を持つ普及機関「H2グローバル」と連携し、ノウハウの共有を図る。未だ価格の高いグリーン水素の取引の円滑な成立も後押しする。さらに、 海外都市との連携により、供給ルートを確保し、都も率先し利用の加速を図る。
○水素社会実現に向けスピード感を持った取組を進め、脱炭素化で国や世界をリードしていく。
中小企業の賃上げの促進
物価高が都民生活を直撃していますが、最も重要なのは、物価上昇を上回る賃上げを実現することです。都は、わが会派のこれまでの質疑を経て、生産性の向上にむけた事業において賃上げにつなげることを表明した場合に補助率を高めるなど、取組みを進めていますが、更なる後押しが必要です。
Q 賃上げの促進に向けて都として強力な対応を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
A(産業労働局長)
○中小企業が生産効率の向上を図るとともに、職場環境の改善により、社員の働く意欲を高めて、賃金引上げを実現する経営を進めることは重要である。
○これまで都は、中小企業が生産性向上を目的にデジタル技術を活用した機器等を導入
する際の支援について、その成果を従業員の収入増加に結び付ける場合、手厚い助成を行っている。また、専門家の助言により、勤務のルールなどを見直し賃金の引上げも行う事業者に奨励金を支給する仕組みを設けている。
○今後、生産性を高めるより規模の大きい設備の導入支援や賃金制度の見直しに役立つ
情報提供に力を入れる。
引き続き、生産性向上を従業員の待遇改善につなげる仕組みを拡大します。
都営交通の利用者増と地域振興につながるデジタルチケットの導入
民間交通機関が実施しているウォーキングイベントの中には、駅を起点とした様々なコースが設定され、施設利用料や商店街の食べ歩きの割引が組み合わされたものがあり、初めて行った場所でも充実した一日を過ごすことができます。このような取組は、都営交通の利用者数の回復と地域振興の両立につながるものであり、スタートアップの力も活かしたデジタルチケットの活用も有効です。
Q デジタルチケットを活用し、都営交通における利用者増と地域振興の両立を推し進めるべきですが、見解を伺います。
A(交通局長)
○交通局では、イベントの開催や地域の魅力発信等を通じて、旅客誘致や沿線のにぎわい創出に取り組んできた。
○今月中旬からは、東京さくらトラムにおいて、スタートアップとの協働により、都営交通初となるデジタル一日乗車券を販売することとし、合わせて沿線店舗のクーポン提供やSNSを活用した情報発信等により、沿線の名所やグルメなどを楽しめる街歩きを促進。
○アンケート結果や利用実績のデータを分析・活用し、より利便性の高い企画乗車券の開発へつなげていく。
○多様な主体と連携し、デジタル技術も活用しながら、更なる旅客需要の創出や沿線地域の活性化に取り組む。
私は今は大学生になる子供が小さかった頃から、JR東日本の「駅からハイキング」で関東近郊によく出かけていました。スタートアップの提案を受けて、都営交通でも新規乗客獲得&地域振興の取組が始まります!
市場の新たな販路開拓や新商品の開発~BBQ施設
私たちはかねてより、市場会計の収支改善に向けて積極的な取り組みを求めてきました。その方策の一つとして、市場業者の稼ぐ力の向上を後押ししていくことが効果的です。
昨今、豊洲市場界隈ではBBQ施設ができ、新鮮な食材を屋外で楽しみながらコミュニケーションが図れると評判となっていますが、これは、隣接する豊洲市場の市場業者にとって、新鮮な魚介類を提供する新たな販路にもなっているとのことです。
Q 昨今、豊洲市場界隈ではバーベキュー施設ができ、新鮮な魚介類を提供する新たな販路となっています。中央卸売市場の振興策として、豊洲市場と同様に水産物を取り扱っている大田市場や足立市場においても取り組めないか、検討してみるべきと考えますが、都の見解を伺います。
A(中央卸売市場長)
○中央卸売市場が、都民に対して安定的に生鮮食料品等を供給する役割を将来にわたって果たしていくためには、市場業者の販売力を高めることが重要。
○このため都では、市場業者に対して、新たな販路の開拓や新商品の開発等に要する経費の一部を支援する取組を実施。
○お話にあったバーベキューの事例や都の支援を通じて得られた新たなビジネスモデルの成功事例について、専門家による経営相談の機会や、市場業者向けの広報誌などを活用して広く共有することにより、市場業者による販路拡大や市場の魅力向上を後押し。
独立採算の中央卸売市場会計は毎年赤字で、築地市場の跡地を一般会計に売却する「有償所管換え」を行ったことによる売却益を切り崩して運営しているのが実態です(ちなみに都議会自民党は、この時、築地市場の跡地の売却を強く提案していましたが、小池都知事知事は所管を変えてでも都で保有し続けることを決めました。東京の玄関口ともいえるこの場所を、都が保有し続け、東京都が、ひいては都民が開発の方向性に関与できる形にしたことは正しい判断であったと私は思います)。
市場会計の改善に向けて小さなことでも提案していくことは大切だと思っています。
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