「令和5年都議会第4回定例会」代表質問③~都市の持続可能性を高める

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医療・介護

 私たちは介護職員の宿舎借り上げ支援の拡充など、ケアする人を支える介護人材支援の充実を継続して求めてきました。介護人材については、深刻な人材不足の状況にあり、特に在宅訪問介護のヘルパーの有効求人倍率は15倍を超えるなどしています。加えて、在宅で生活する高齢者を支えるために中核的な役割を担う介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーも職員の高齢化と人材不足が深刻であり、私たちは第2定例会で支援策の検討を要望しました。
 これに応える形で、都は、10月に、ケアマネを含めた介護職員の処遇改善について、国に対して緊急提言を行いました。しかし、いまだ国の対応が見通せないなかで、ケアマネ不足は待ったなしの状況であり、都としても具体的な支援を検討すべきです。

Q 介護分野における深刻な人材不足を踏まえ、今後の介護需要の急増に対応できるよう、介護人材対策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

A(福祉局長)
○都は、介護職員の確保・定着・育成に向け、職場体験や資格取得支援のほか、介護職員の宿舎借り上げに取り組む事業者を支援するなど、様々な取組を実施してきた。
○また、介護支援専門員の確保・定着を図るため、宿舎借り上げ支援事業の補助対象を居宅介護支援事業所にも拡大するほか業務負担を軽減するデジタル機器の導入経費への補助を行うなど支援を強化してきた。
○今後、宿舎借り上げ支援事業の要件の緩和のほか、未経験者を雇用する訪問介護事業所への支援や介護支援専門員の更新研修等の負担軽減など介護人材対策の充実について検討していく。

これ以外にも、子育てを終えた専業主婦に、福祉分野への正規就労が生涯賃金と年金に与える影響を伝え、再就労を促す事業についても調整を進めています!

共生社会の実現に向けて

ユニバーサルコミュニケーションの推進

 私たちは先日、デジタル技術を活用した新しいコミュニケーションを体験できる「みるカフェ」を視察し、音声翻訳表示ディスプレイなど、新たなテクノロジーに大きな可能性を感じました。2025年のデフリンピックでは、障がいを超えて誰もがコミュニケーションが取れる社会実現に向け、都は後押しをすべきです。

 一方で、障害をサポートするテクノロジーは市場規模が小さいなどの理由により、技術開発に踏み込める企業が限られるなどの課題があります。そのため、社会的な意義を伝えるとともに海外含め市場開拓を支援するなど、行政の側面支援は欠かせません

Q デフリンピック、世界陸上の両大会の開催まで残り2年を切る中、都は、ユニバーサルコミュニケーションを社会に浸透させていくための取組を具体的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

A(生活文化スポーツ局長)
○社会への技術実装を進めていくため、民間企業の開発を促進するとともに、様々な場面で積極的に活用し、発信していくことが重要。
○そのため、スタートアップ企業等との連携により「誰もが大会を楽しめる技術」の開発に取り組む
○また、街中における活用機会拡大のため、様々な都立施設や区市町村施設等で、音声をテキストに変換するなど、障がいの有無に関わらず円滑な交流を実現する技術の活用促進を検討
○さらに、多様な技術を各種展示会等で国内外に発信することなどを通じ、技術の社会への浸透を図っていく。

支援したいと思う方が支援できる仕組みの研究

 都のヘルプマーク、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせる手段として広く普及しており、都が私たちの求めに応じ実施した調査でも、特に電車、バスなどの公共交通機関で役に立つと感じて頂いていることが分かりました。

 一方で、健常者の方々からは、支援をしたくても、声をかけてよいかどうか躊躇する、具体的な支援の方法が分からないといったお声も頂いており、共生社会の実現のため、支援したいという想いを持つ方々が一歩を踏み出すことができる環境の整備にも取り組むべきです。

Q どのような仕組みがあれば、都民が、援助や配慮を必要としている方々に支援を行いやすくなるか、様々な角度から調査・研究を行い、都民の行動変容につながる施策につなげていくべきと考えますが、見解を伺います。

A (福祉局長)
〇共生社会を実現するためには、一人ひとりが、障害や障害の特性を理解した上で、障害者が日常生活や社会生活を営む上での困難さについて、自らの身近な問題として考え行動に移すことが重要である。
〇都は、外見からは分からないが支援や配慮が必要であることを知らせるヘルプマークを作成し、マークを見かけた際の行動例等をホームページやポスターで紹介するなど、普及啓発を行っている。
今後、都民が困っている方を見かけたときに行動に移すことができるよう具体策を検討するため都立大学と連携して意識調査を行うなど共生社会の実現に向け取組を進めて参ります。

都市の持続性可能性向上

グリーンインフラの導入推進

 都は、私たちが提案した、自然の持つ力をまちづくりに活かす「グリーンインフラ」も取り入れ、新たな緑のプロジェクト「東京グリーンビズ」を始動しました。

 気候変動により自然災害が激甚化し、また、COP15で新たな生物多様性に関する世界目標が採択されるなか、人の暮らしとの共存を目的として人が手を入れ、管理してきた東京の緑についても、防災力や美しさの向上、生物多様性の維持、心のゆとりなど、都民の求めと都市の成長に応じて、レベルアップを図る必要があります。

 特に、都市化が進んだ都内では、地表がアスファルトなどで覆われた結果、雨水が浸透できる土壌が減少しています。排水施設の処理能力を超えることによる内水氾濫が、浸水被害額の7割を占めており、グリーンインフラは豪雨対策としても期待されています。今後、レインガーデン等のグリーンインフラの導入を進めるにあたっては、先行実施を行うエリアを設定するとともに、これまで課題といわれてきた性能の評価にもチャレンジすべきです。

Q 豪雨対策基本方針においては、豪雨対策に役立つグリーンインフラを導入促進すべきと考えますが、都の見解を伺います。

A(都市整備局長)
〇グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする考え方。
〇河川や下水道への負荷を軽減し、豪雨対策に有効であることから、都では、東京都豪雨対策基本方針の改定にあたり、雨水流出抑制に資するグリーンインフラの導入を位置付けている。
〇今後、基本方針に基づき、レインガーデン等を先行的に設置する箇所を公共用地で選定し、取組効果を検証するとともに、個人住宅や公共施設におけるグリーンインフラ設置への支援等、具体的な取組方策を検討し、導入促進を図っていく。

効果検証についても前進答弁がありました。

例えば、世田谷区桜新町一丁目には、雨が降ると水が集まりやすい場所があります。狭いエリア(答弁では「箇所」と表現)でグリーンインフラを導入することで、その効果が見やすくなると考えます。

環境負荷低減

 先進的な環境政策の推進は、都市の魅力向上に欠かすことができません。

 光熱費の高騰が継続する中、エネルギー効率の良い家電の導入は家計負担の軽減にも効果的であり、私たちはこれまでも、都の省エネ家電の買い替えを支援する「東京ゼロエミポイント事業」の継続と拡充を要望し、都は、対象機器の拡充やポイントの引き上げを行ってきましたが、更なる強化が必要です。

Q 「東京ゼロエミポイント事業」に関し、新規世帯や高齢世帯が増加している都内の現状を見ると、独り暮らしを始めるなどの世帯構成が変化するタイミングを捉えた取組や、手軽に支援が受けられる工夫など、省エネ家電の買い替え支援の充実を図るべきですが、見解を伺います。

A(環境局長)
〇省エネ性能の高い家電への買替えは、快適な暮らしを維持しながら省エネを実現できるため、エネルギー消費量が増加している家庭部門への対策として効果的。
〇このため都はエアコンや冷蔵庫等、消費電力の高い家電を省エネ性能の高い機器に買い替える場合の支援を利用者のニーズ等を踏まえながら段階的に拡充。
〇にこれまでの事業を継続するとともに、今後、新たに家電を 購入する場合高効率機器を選びやすくする工夫を検討
〇また、地域の家電店等との連携を深め、申請手続きの利便性を高める取組を検討するなど支援を充実して参ります。

 都内CO2排出量の2割弱を運輸部門が締めており、一層の削減対策が求められる中、再配達の抑制は、運送業界の2024年問題への対応とCO2排出量の削減の双方に寄与します

運輸業界でも配達日の事前指定やコンビニ等での受け取りサービス等の対策を進めていますが、家庭の宅配ボックス設置による再配達の抑制は、ドライバーの働き方改革に加え、CO2排出量の削減にも寄与する効果が期待され、都としても強力に後押しすべきです。

Q ゼロエミッション東京の実現に向け、荷物の受け取り方の工夫などにより家庭に関わるCO2排出量の削減も進めるべきと考えますが、見解を伺います。

A(環境局長)
○住宅でのエネルギー消費の削減には、断熱・省エネ性能を高める取組や再エネの活用
が重要であり、都はこれまで様々な支援を実施 。
〇2030年のカーボンハーフの実現をより確かなものにするにはこれらの取組の強化
に加え、例えば、宅配の再配達を減らす工夫など、家庭での対策で物流のCO2削減にも繋がる取組が必要。
〇このため、住宅の省エネ化に資する様々な支援策の周知に合わせ、宅配ボックス設置
の有効性等について関係局と連携してPRするとともに、区市町村等とも連携した再配
達の抑制等について検討

マンションの防災力向上

 私たちはかねてより、都民のうち約900万人が居住するマンション等の防災力向上の必要性を強く訴えてきました。都は、防災ブックとあわせたマンション防災に関するリーフレットの配布といったソフト面の整備や、新たに「東京とどまるマンション」事業を展開し、防災資器材の購入助成を強化しています。マンションの防災力向上は、周辺地域の防災力向上にもつながるものであり、「とどまるマンション」の登録拡大を進めるべきです。

Q 地域防災力向上に向け、「東京とどまるマンション」の周知を強化するとともに、ソフト面での取組みを一層強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

A(知事)
〇災害時にも都民の生活を守るためにはマンションにおいて備蓄や訓練などを促し、その防災力を向上させることを通じ、地域全体の防災力を高めていくことが重要。
〇都はこれまで、業界団体等と連携した制度周知、登録マンションに補助した防災備蓄資器材を用いた訓練を促進。
〇今後、更に裾野を広げるため、 防災活動を始めるきっかけとなるパンフレット等により意識啓発、 防災備蓄資器材の整備に向けた支援に一層注力
〇地域の防災活動を活性化し、東京全体の防災力を向上。

国に先駆けた学校給食費の支援

 都が学校給食費を無償化する区市町村を対象に、補助を実施する方針が示されました。画期的な取り組みですが、その補助内容によっては、財政的に困難な多摩地域ではその実施が拡大するか不透明です。

Q 都立学校について無償化を図るとともに、区市町村については、多摩地域も含め、広く給食費の負担軽減が図られるよう取り組みやすい制度とすべきと考えますが、知事の見解を伺います。

A(知事)
〇子供たちの健全な成長を支えるうえで、教育は重要な基盤。
〇なかでも、学校給食費のあり方については、全国共通の課題であり、国の責任と財源において無償化を実現すべきもの。この考えから、今般、国に対し、強く働きかけをした。
〇同時に、都として、国に先行し、学校給食費に関し、都立学校の負担軽減とともに負担軽減に取り組む区市町村に対する支援について、実施に踏み出すこととした。
〇具体的には、今後、予算編成の中で検討。

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