「令和2年第2回都議会定例会」文教委員会(教育庁)

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6/5は、都議会第2回定例会の文教委員会(教育庁関連)の質疑が行われました。

議会(委員会)のインターネット中継(と動画配信)は、都民ファーストの会が第一会派として実現しました。皆様が投票を通じて選んだ議員がどのような質疑を行うか、しっかり見ていただくことも、二元代表制を正しく機能させるためには重要だと考えます。

この日は、オンライン教育の補正予算に関連して、40分ほど質疑を行いました。動画は当日中に公開しています。


新型コロナウイルス感染症という国難の中、日本の弱点がデジタル化の遅れであることが明らかになり、小池都知事は所信演説にて、「都内公立学校におけるオンライン教育を、この機会に一気に促進する」と述べられました。二度と子供達の教育機会が奪われることがないように、そして、Sciety5.0を生き抜く力をつけるために、今こそ、オンライン教育の本格立ち上げ、学校でのICT利活用の推進を力強く進めるべき時です。

我が会派は、新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急要望の中で、再三、オンライン教育の拡充を訴えてきました。国は「GIGAスクール構想」で、都もこれまでの補正予算や専決処分で、オンライン教育環境整備に取り組んでいます。しかしながら、都内公立学校の保護者からは、約3か月続いた休校期間の後半になっても、「自分の地域ではオンライン教育等の対応が一切なされていない」、「期待したような内容ではない」、という声が数多く届いていました。

Q1. 去る4月27日、我が会派幹事長より教育長に対し、オンライン学習の推進に当たり、各区市町村において学校のICT化に向けた調査の着実な実施について緊急要望を行った。調査内容と結果は

A.都教委は、今般の休業期間中における、各学校のオンライン学習の実施状況を把握するため、調査を行っている。(中略)今後、各学校の具体的な取組事例も把握し、都立学校や区市町村教委へ周知し、オンライン学習の取組を支援していく。

調査結果からは、都内の公立学校で、オンライン学習に取り組めていない学校があることが明らかになりました。都内の児童生徒が受ける教育に格差が生じないようにすることは、東京都の役割であり、次回調査する際には、オンライン学習が進んでいない学校について、その理由を確認するための項目を設定し、課題をとらえた対策を打つことを要望しました。


私が現場や様々なシンポジウム等で収集した情報によると、オンライン学習が進まない理由は、基礎自治体の教育委員会や学校現場の先生方の「全ての家庭に環境が整わないうちはできない」、「学校再開するまでに、怒られない程度にオンライン教育に取り組み、学校再開後に、授業時数を取り返せばいい」という意識だと聞いています。兵庫県尼崎市など、ICTを活用した休校中の家庭学習支援を実現きている自治体は、「デジタル・デフォルト」、まずはやる、環境が無い児童生徒にはケアをする、という姿勢で取り組んでいます。

Q2.ICTの利活用に関する教員の意識改革を進めるために、取り組んでよかったという先生方の声を学校の先生方に伝えるべき

A2.(中略)ICTの利活用の推進に資する事例を把握し、都立学校や区市町村教育委員会に周知して、教員の取組を支援していく。

前向き答弁です。先にあげた尼崎市など、ICTで先進的な取り組みをしている自治体を牽引しているのは、結局は人であり、都でも、先進的な取り組みをした先生方のためのポジションを都教育委員会の中に作り、より多くの先生方や学校に影響を与えていただくよう要望しました。


今回の補正予算により、端末と通信環境がないご家庭にもオンライン学習の環境が整備されますが、低学年では保護者がかなりサポートする必要があったり、保護者のICTリテラシーにもばらつきがあるなどの課題があります。

Q3.ICT機器操作方法等の支援が必要な家庭については、個別に対応する人的サポートが必要

A3.(中略)ICT機器の操作等について、児童・生徒や保護者からの問合せに教員がきめ細かく対応できるよう、学校への支援員の配置を進めていくなど、教員のICTスキルの向上を図り、全ての児童・生徒の家庭における学びを支援していく。

国や都が端末や通信の整備を行いますが、物を配って終わり(使われない)にしないための人的支援については、私の質疑に応えた取り組みです。


支援員のマッチングに関しては、5/15付都政新報によると、東京学校支援機構(TEPRO)に190名登録があるのに対し、休校措置もあって引き合いはまだ1件とのことで、私も世田谷区に紹介するなどしました。

Q4.導入支援員、オンライン支援員の導入を支援するだけでなく、どこにアクセスすれば人材を獲得できるか、丁寧に告知するべき

A4.(中略)本年4月から人材バンク(TEPROサポーターバンク)を稼働させ、現在約4,400人の方が登録、この中には学校でのICT支援を希望する人材も含まれている。(中略)TEPROに対し、TEPROの相談窓口や利用の案内を丁寧に行うとともに、要望の聞き取りや人材のマッチングなどの支援を積極的に行うよう求めていく。

前向き答弁です。知識習得用の動画は世界中の教育機関や企業が提供する時代であり、企業によっては、視聴履歴を取得し、離脱した部分について改善を重ねるようなケースもあります。将来的には、動画の共通部門は都が取りまとめて作成するなど、先生方の負荷の削減と質の向上を両立する取り組みを要望しました。


Q5.追加議案「タブレット端末等の買入れについて」について、専決処分の補正予算では、55億円の予算であったが、30億円弱の買入額となっている。42,000台の一台当たりの端末単価と、区市町村教育委員会へ貸し出し後の活用は

A5.専決処分された補正予算におけるタブレット端末の買入れについては、端末一台当たりの予算単価を132,000円とした。GIGAスクール構想で国が示す標準仕様の端末の価格帯と重ならず、(中略)早急に調達可能な価格帯の単価をもとに算出した。この度の契約において、予算単価よりも低い価格帯の端末が調達でき、端末一台当たりの価格が71,400円となった。区市町村教育委員会に対しては、6月中旬以降、GIGAスクール構想による端末が調達されるまでの間、この端末を貸し出す。なお、来年度については、都立学校等での利用を想定している。

高校はGIGAスクール構想の対象外であるため、端末についてはBYOD(Bring your own device)で進めると聞いていますが、GIGAスクール構想で学んだ生徒の進学にあわせて高校の端末整備も進めるべきであり、都立高校の先生や生徒の利用を想定するのであれば、小中学校で用いる端末よりスペックが高いのは妥当と考えます。予算が適正に執行されていることを確認しました。


私は従来より、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトを「クラウドバイデフォルト」の方針で開発するよう求め、令和2年予算特別委員会で、その方向性ですすめるとの答弁を得ています。都教育委員会が、パートナーに、技術力と信頼性の高い、クラウドサービス提供会社を選んだことを評価します。子供達に学習サービスを提供し、その学習ログを収集、指導に活かすためには、生徒一人ひとりにアカウントを付与する必要があります。

Q6.都教育委員会は学習支援クラウドサービスのアカウントを都立学校の全教員、全生徒に割り振ったが、11月に新しいアカウントに切り替えると聞いている。その理由は?

A6.(中略)今般の感染症による都立学校の休業の長期化に伴い、家庭でのオンラインよる学習を早期に実現するため、教育委員会では、本クラウドサービスの導入を5月に前倒したが、現在のアカウントは、名前などを含まない簡易的なものであるため、11月からは本格的な新しいアカウントに切り替えていく。

休校措置が続くなか、早期立ち上げを優先したという、やむを得ない措置であることを確認しました。

加えて、学習ログの収集は、長期ビジョンにも示された個別最適化された学び「東京型教育モデル」の実現に向けた重要な取り組みです。私は以前より、子供たちの将来に大きく影響する教育政策の質の向上のために、EBPM(エビデンスベースの政策立案)を導入するべきと訴えてきました。早稲田大学准教授の松岡亮二(マツオカリョウジ)先生も、従来の日本の教育政策が場当たり的、思い付きで行われ、迷走してきたこと、そしてその改善のためには、まずはデータの収集であると述べられています。

Q7.一人一台端末による学習が展開されることにより、児童・生徒の学習履歴がデジタルデータとして蓄積できる。今後、その学習履歴をどのように活用していくのか

A7.(中略)今後、都教育委員会は、様々な学習履歴からエビデンスとすべき有効な学習履歴を抽出し、その学習履歴の取得方法や分析方法について研究し、エビデンスベースの教育を実現していく。

学習ログの集積により、学区外に越してもシームレスに学びを続けられるようになったり、データ分析がなされることで、議論の遡上にはあがりつつも、さすがに思い付きレベルではこれ以上検討を進めることができなかった飛び級制度の導入や、従来より課題としては認識されていたものの、AO入試の導入など部分的な改善にとどまっていた一斉受験の見直しなど、教育改革にもつながる重要な取り組みです。

加えて、TOKYOスマート・スクール・プロジェクトのシステム構築にあたって、
・学習サービス提供会社と契約する際は、学習ログの提供を前提とすること
・データベースの仕様やデータ形式を決める際には、学習ログの活用の目的を明確にしたうえで、是非多様な事業主体の意見を聞く場を設けること
・成績管理システムについても、クラウド上に構築すること
を要望しました。


我が会派の代表質問の答弁として、対面指導とオンライン指導の効果的な組み合わせとして、家庭での時間は知識の習得に、学校での時間は思考力、判断力、表現力等の育成に向けた学習に有効であるとの見解を得ています。オンライン学習環境が整ったことで、AI型ドリル教材の導入は、現実味を帯びた話になりました。今回の休校期間の学習の遅れを取り戻すにあたり、休日を削ったり、プリントを山ほど渡したりするのではなく、テクノロジーでカバーできる部分はカバーし、量や時間から質への教育改革に取り組むべきです。会派要望を通じても求めていますが、都立学校、そして都内公立学校で、AI型ドリル教材などの最新の知見を活かせるよう、積極的に取り組むことを要望しました。


Q8.実験や実習の多い専門高校において、ITの利活用やオンライン学習の機会を増やしていくべき

A8.臨時休業期間中における課題として、実験や実習の進め方を収めた動画や、農作物の収穫方法や家畜の飼育等に関する動画を作成して配信するなどしてきた。また、模擬株式会社のミーティングをオンラインで体験できるよう取り組むなどしてきた。(中略)今後、専門高校のオンライン学習の充実を図っていく。

農業であれば、ドローン撮影などを用いた種まきや収穫時期の最適化、工業であればRFタグを用いた在庫管理や、画像診断を用いた製造ラインの故障予測による生産性向上、商業においてもクラウド会計システムの活用など、全てにおいてICTの利活用が進みます。専門高校の教育もデジタル化にも積極的に取り組んでいただくことを要望しました。


休校措置により、学習や学校での友達との関わりなど、学校が提供していた教育の重要性が、改めて全ての都民に共有されました。オンライン教育は、別室登校や不登校の生徒たちの学習機会の補償につながります。

オンライン教育やICT機器の利活用により、より多くの児童生徒の学習機会の確保を、一層積極的に進めていただくことを要望しました。


最後に、予算特別委員会の質疑でも取り上げましたが、昨年、日本財団が実施した「18歳意識調査」では、日本の若者が突出して、自国の社会課題を解決する意欲が低いことが明らかになっています。課題設定、解決のサイクルを最初は小さくていいので回し、少しずつ大きな課題に取り組むことで、国や大学がどんな社会課題に取り組んでいるかを知り、自分がチャレンジする問題も見えてきます。デジタル=冷たいではなく、デジタル=より温かい教育(一人ひとりにあった教育、そして、探求、協働の機会の増加)が可能になります。

最後に、
・AI型ドリル教材の活用などにより知識習得を効率化し、生み出された時間を探求活動、PBL、行事などの、先生や友達との関わりの中で学ぶ時間にあてること
・休校措置というピンチをチャンスととらえ、学校のデジタル化、教育でのICT利活用を積極的に進め、一人ひとりに個別最適化された教育の実現、そして、生き抜く力の育成に結び付ける取り組むこと
を要望しました。


内山都議は、学校再開にあたり、感染症対策の充実、そして、先生方のライフワークバランスについて質疑を行いました。

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